【コラム】ボヌッチとアッレグリの軋轢でユーベの「鉄の結束」にヒビ? しかし歴史を見れば…

2017年02月24日 片野道郎

2人はロッカールームでも掴み合い寸前までいき…。

采配を巡って対立したアッレグリ監督(左)とボヌッチ(右)。鉄の結束を誇るユーベにヒビが……。写真:Alberto LINGRIA,Getty Images

 2月22日に行われたチャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント1回戦のファーストレグ、ユベントスは敵地に乗り込み、ポルトに2-0で完勝した。
 
 たしかに、開始27分で相手の左SBアレックス・テレスがイエローカード2枚で退場になるという幸運はあった。とはいえ、その後10人で自陣に引きこもって文字通りの「カテナッチョ」に徹したポルトに対して、まったく焦ることなくポゼッションで試合をコントロールしながら粘り強くチャンスを待ち、後半20分過ぎの選手交代をきっかけに一気に攻勢に出てたった2分間で2ゴール(得点者はマルコ・ピアツァ、ダニエウ・アウベス)を奪取。最後の15分も余裕を持って試合をクローズしたその戦いぶりは、文句の付けようのないものだった。
 
 こうしてすべては「結果オーライ」となったものの、試合前の3日間、チームの周辺はユーベには珍しいほどの騒音と混乱に支配されていた。
 
 最終ラインの柱であるレオナルド・ボヌッチを、遠征に帯同したにもかかわらず「規律上の理由」でベンチ入りメンバーから外し、観客席からの観戦を命じたマッシミリアーノ・アッレグリ監督の決断に、大きな懸念と批判が集まっていたからだ。
 
 事の発端は、2月17日に行われたパレルモ戦(セリエA25節。4-1で勝利)の終盤に起こった出来事だった。
 
 体力的な限界に達していたクラウディオ・マルキージオの交代を繰り返し訴えるボヌッチに対し、黙ってプレーに専念させようとした指揮官が「汚い言葉」を使って強く叱責。それでさらに機嫌を損ねたボヌッチが試合終了と同時に、恒例のゴール裏に対する挨拶もキャンセルしてそそくさとロッカールームに走り去ったのだ。
 
 試合後のインタビューでこの出来事について質問された監督は、「交替枠をすでに2つ使っていたが、ピアツァが足をつり、(ステーファノ・)ストゥラーロも一杯いっぱいで、マルキージオも足をつっていた。誰を替えるか考える必要があった。つまるところちょっとした行き違いだ。よくあることで何の問題もない」と説明した。
 
 しかし、報道によれば2人はその後のロッカールームでも激しい口論を続け、掴み合いにこそならなかったものの、それに近いほど険悪な状態になったという。
 

次ページアッレグリ監督はクラブに「自分を取るか、ボヌッチを取るか」と迫る。

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