日本的な思考は俺の武器――小林祐希が見出した海外で生き残る道とは?

2017年02月02日 安藤隆人

上がっていくのは周りのおかげ、下がるのは自分のせい。

ヘーレンフェーンではボランチとして確固たる地位を築いた小林。さらなるステップアップが期待される。(C) Getty Images

 小林祐希、24歳。彼は今、まっすぐに将来を見据えて、オランダの地で前に進もうとしている。
 
 1月28日、29日とオランダ・ヘーレンフェーンでの試合と小林のインタビューを通じて、現状に迫ってみると、哲学的とも言える思慮深さで自らを律し、将来につなげようとする若者の人間味溢れる姿を垣間見ることができた。
 
「『壁を乗り越えろ』とか、日本人は自己啓発的な言葉が好きだけど、俺はその壁を乗り越えるためにこう努力するところではなくて、もっと違うところに頭を使いたい」
 
 自宅の椅子に座り、小林は自分の哲学を語り始めた。
「信念を持つとか、自信を持ち続けるとか、自分を信じ続けることは同じ。でもそれは代表にいる全選手がそう。全員が同じで、みんな自分を信じているし、やれると思っている。でも俺は上がっていくのは自分のおかげじゃないと思っています。上がっていくのは周りのおかげなんです。下がるのは自分のせい。それは勝手に自分が悩んで、周りのせいにして、下がっていく。上がっていくのは周りのおかげと考えた方が楽しいんです。100%仲間、チームのことを思って行動を起こせることで、自分の未来、チームの未来が決まると思う」
 
 ヘーレンフェーンではトップ下よりもボランチで守備を軸に、攻守のバランスを支えるプレーを求められ、日本代表でも攻守に関わり続けることを求められている。この役割を忠実にこなしながら、持ち味の攻撃力を発揮することに自分の活路を見出している。それが体現できているからこそ、ヘーレンフェーンでは不動のレギュラーを掴み、A代表でも着実に頭角を現わしている。
 
「常にチームのために良いポジションに立って、相手の攻撃の芽を摘みながら、守備から攻撃を狙っていたんです。もちろんA代表で生き残っていくためには結果が必要なのは分かっている。得点やアシストをマークできれば良いなと思うけど、それ以上に、今チームが、ハリルが求めていることは何?と考えると、俺は山口螢選手とか長谷部誠選手みたいなアグレッシブな守備と、気の利いたポジション。原口元気選手みたいな上下動を求められている。ならば点を獲らなくてもアピールできると思っていましたから」

次ページ「言わなくても分かるよね、という日本的な思考に良さを感じている」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事