「ストライカー」を体現する浅野拓磨と鈴木優磨はハリルジャパンの希望だ

2017年01月31日 熊崎敬

ともに飛躍のきっかけを掴んでいるふたり。

3月に再開するロシアW杯最終予選。浅野(左)と鈴木(左)の台頭に期待したい。写真:佐藤明、小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ベテランの岡崎慎司か、ケルンで進境著しい大迫勇也か、それとも鹿島アントラーズでエースを張っている金崎夢生か――。
 
 ロシア・ワールドカップ行きを懸けたアジア最終予選は残り4試合とこれから佳境を迎えるが、センターフォワードを巡る争いからも目が離せない。
 
 最終予選、そして本大会に向けたエース候補は冒頭の3人に絞られたわけではない。飛躍のきっかけを掴んだふたりの俊英が、熾烈な争いに割って入ろうとしている。シュツットガルトの浅野拓磨(22歳)と鹿島の鈴木優磨(20歳)だ。
 
 四日市中央工業高時代に高校選手権得点王に輝いた浅野は、サンフレッチェ広島入団3年目の2015年に才能を開花させた。スーパーサブとして8ゴールを叩き出し、チームのJ1制覇に貢献。2016年はリオデジャネイロ五輪を経て、アーセナルに引き抜かれた。
 
 英国の労働許可が下りなかったため、今シーズンはレンタルでブンデスリーガ2部のシュツットガルトに新天地を求めた。
 
 天性のスピードを誇る浅野は、「ジャガー」の愛称そのままに鋭い加速で敵陣を切り裂き、痛快にゴールを陥れる。その爆発的な速さはスペースがあるほど活きるが、初動から瞬く間にトップスピードに乗るため、敵が密集する狭い局面でも脅威となる。
 
 2部とはいえドイツという厳しい環境に身を置いたことで、持ち前のスピードを活かす駆け引きは巧妙になってきた。一旦、ペースダウンして内に切れ込む動きで相手DFを釣り、ふたたび外に持ち出して勝負。コース取りや緩急の変化によって敵を外し、フィニッシュに持ち込むしたたかさを見せるようになった。
 
 シュツットガルトには移籍期限ギリギリの加入ながらも、早くもレギュラーに定着してここまで14試合出場で2ゴール・4アシスト。新天地でプレーの幅を広げていることは間違いない。

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