独自路線を行く磐田の補強戦略――高いレフティ率、ウズベク代表の獲得は実るのか?

2017年01月14日 清水英斗

磐田の補強は、名波監督の好みに左右されているのではないか。

戦術家の名波監督にとって、正確に長短のボールを蹴り分ける選手は重要。補強にもその色が現われている。

 2017年の開幕に向け、J1はビッグネームの動きが活発になっている。
 
 横浜から磐田へ行った中村俊輔を筆頭に、バンディエラ(旗頭)、あるいは主力クラスの移籍が非常に多い。佐藤寿人は広島から名古屋へ、レオ・シルバは新潟から鹿島へ、大久保嘉人は川崎からFC東京へ、家長昭博は大宮から川崎へ、大前元紀は清水から大宮へ。これらはほんの一部の例であり、本当にビッグネームがよく動いている。
 
 ひとつの原因は、横浜、名古屋というふたつの大きなクラブが、チームをそっくり入れ替えるレベルで放出と獲得を繰り返しているためだろう。
 
 放出するなら、代わりの戦力を獲得しなければならないし、獲得するなら、余剰戦力にならないように他クラブへ放出しなければならない。横浜と名古屋以外にも、大きな動きをするクラブが、2つ、3つと増えると、玉突き移籍に発展する。市場の流動性が高まるのは当然だった。
 
 また、移籍のビッグニュースが多い理由のもうひとつとして、かつて日本代表で活躍した名選手たちが、キャリアの終盤を考えるタイミングに差し掛かったことも挙げられる。
 
 これまで充分にクラブの顔として働いた男たちが、最後に、自分のことを考える。そんなタイミングの決断だ。
 
 小笠原満男に代表されるように、近年のJ1は30代の選手たちの活躍が目立つ。30代も半ばを越えて、これほどプレーできる選手が多いことに驚いている。ビッグネームの移籍はチームへの影響が大きいが、現役生活に悔いを残さないために、彼らも移籍の決断を下した。
 
 そんなこんなで新鮮な顔ぶれのクラブが増える今季だが、やはり注目は磐田だろう。
 
 相変わらず、レフティが多い。ジェイと小林祐希はクラブを去ったが、中村俊輔と川又堅碁が加入し、レフティ率は高いままだ。名波監督は特に意識はしていないと語っているそうだが、偶然にしては出来すぎている。

 個人的に推測するに、やはり名波監督の好みに左右されているのではないだろうか。左利きの選手は、総じてキックの技術レベルが高い。左足で蹴ること自体がストロングポイントなので、クロスやフリーキックなど、キック技術を重点的に磨くからだ。戦術家の名波監督にとって、正確に長短のボールを蹴り分ける選手は重要であり、たまたまそういう選手が、レフティに多い。そういうことではないだろうか。

次ページ優勝争いは浦和が最有力。動かなかったクラブに強みがある。

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