珍しく弱気なC・ロナウドに、盟友ペペがかけた心に刺さる言葉とは?

2016年12月15日 ヌーノ・ルス

その表情は柔らかく、幸福感が滲み出ていた。

C・ロナウドはルス氏に会った際に、EURO2016制覇という偉業に酔いしれていたという。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 クリスチアーノ・ロナウドとは、数週間前にリスボンで会ったばかりだ。私はこれまでに、定期的に彼とはいろんなところで顔を合わせてきた。
 
 ただ、今回は久しぶりだった。歓喜に酔いしれたあのEURO2016以来だから、だいぶ時間が空いていた。クリスチアーノの表情は柔らかく、幸せそうで、何を語らずともそれはこちらにまで伝わってきた。
 
 彼にとって特別な週だった。
 
 レアル・マドリーとの契約を延長し、ナイキと生涯契約を結んだのだ。もちろん幸せそうだったのは、巨額の契約金を得たからではない。お金なら彼はすでに十分過ぎるくらい持っている。収入が年間8000万ユーロ(約96億円)になったところで、もはや大きな違いはない。
 
 今回、彼と会う前に何も心配していなかったと言えば、それは嘘になる。厳然たる事実があったからだ。今シーズンは満足にゴールを決められていないという事実がだ。
 
 どう贔屓目に見ても100パーセントの出来とは言えない。それでも、クリスチアーノは 幸せだった。マドリーやナイキとの契約ではない。何よりも欲しかったもの、すなわちポルトガル代表でタイトルを手に入れたその達成感が彼を幸せにしていた。
 
 あの決勝の夜、彼は何度も何度も泣いた。「もう泣くな。子供じゃないんだから」と、兄がそう言い聞かせたくらいだ。それほど、クリスチアーノにとってEUROのタイトルは重要だった。
 
 そして、彼は4度目のバロンドールに手をかけている。チームの中心としてチャンピオンズ・リーグを制し、EUROで優勝した選手に与えられなければ、もはやその賞に価値はない。バロンドールは2016年というこの1年を締めくくる、最高の贈り物となるだろう。(※12月12日に自身4度目のバロンドール受賞を果たした)

次ページC・ロナウドが明かした将来への懸念とペペの熱き言葉。

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