【ミラン番記者】本田圭佑は「止め」を刺された…。デルビーのスソの大活躍は致命的だ

2016年11月25日 マルコ・パソット

今や本田はチームの動きから完全に疎外されている。

11月20日のミラノ・ダービーでも出番なしに終わり、これで13節を終えてプレータイムはわずか80分間(先発1試合、途中出場2試合)。本田が苦しんでいる。写真:Alberto LINGRIA

 サムライは止めの一撃を受けた。まあ、止めを刺すまでもなかったかもしれないが……。とにかく失地回復という本田圭佑の希望は、スソによって木っ端微塵に打ち砕かれた。
 
 そう、ストーリーの流れは毎回同じ。ミランはスソに大いに助けられたが本田個人はダメージを受けるという、今やお決まりのパターンだ。
 
 しかし、今回のダメージはかなり大きかった。11月20日のミラノ・デルビー(セリエA13節)でスソは、インテルから2ゴールを奪う素晴らしい活躍を披露。一方の本田は3試合連続で出番なしに終わる。今や背番号10はチームの動きから完全に疎外されている。
 
 スソはエムバイ・ニアングとマヌエル・ロカッテッリとともに、監督のヴィンチェンツォ・モンテッラが大きな賭けに出た選手である。
 
 指揮官は今夏の就任以来、一貫してスソを使い続けてきた。例えばサマーキャンプの時期は、監督は通常いろいろな選手を試してみるものである。とくにモンテッラのような新任は、どの選手が自分のサッカーにマッチするのかを知るため、手持ちの駒をフル活用して天秤にかけるのが常だ。
 
 しかし、武者修行先のジェノアから復帰したスソに限ってモンテッラは、まるで一目惚れでもしたかのように即座にレギュラーに据え、他の選手のオーディションをほとんど行なわなかった。そのポジションとは右ウイング。つまり、本田のポジションだ。そしてモンテッラは、当初からの考えを一貫して変えようとはしない。
 
 ここまでのセリエA13試合のうち、スソは12試合で先発しており、休養を与えられてベンチスタートになったのはたったの1試合。そのジェノア戦(10月25日のセリエA10節)で本田は唯一、スタメンを託された。
 
 しかし、このたった一度のチャンスで本田は、あることを証明して見せてしまった。スソとのクオリティー差である。オフサイドトラップを崩して先制点に絡んだことを差し引いても、この日の本田は酷い出来だった。
 
 70分から途中出場したスソは、62分までプレーしていた本田がまったくできなかったことを易々とやってのけた。何をしてみせたかって? ドリブルで敵を抜き、パスでチャンスを作り、シュートを放った。つまり、攻撃で"違い"を作ることだ。
 
 本田はこの試合で、「スソのバックアッパーとして通用するか?」というオーディションを受けていた。しかし、この千載一遇のチャンスで大失敗し、モンテッラの迷いは完全に吹っ切れてしまった。
 
 思えば昨シーズンの指揮官シニシャ・ミハイロビッチ(現トリノ監督)は、紆余曲折の末に本田をレギュラーに据え、ベンチが定位置だったスソは冬のメルカートで経験を積むためにジェノアにレンタル放出された。
 
 あれから1年で、スソと本田の立場は文字通り逆転した。いったい何があったのか、時計の針を再び夏まで戻してみよう。

次ページ攻撃面では全てにおいてスソのほうが優っているのは明らかだ。

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