【英国人記者コラム】ペップのスタイルに難色を示したイングランドは、時代遅れの文化を今こそ変革すべきだ

2016年11月24日 スティーブ・マッケンジー

意外だったグアルディオラへのネガティブな反応。

リーグ戦は8勝3分け1敗の3位とまずまずのスタートを切ったグアルディオラだが、バルセロナやバイエルンで見せた圧倒的なサッカーはいまだに見られない。 (C) Getty Images

 ジョゼップ・グアルディオラがマンチェスター・シティに就任した当初、この稀代の戦術家がマンチェスター・Cだけでなく、プレミアリーグにも今までになかったものをもたらすかもしれないとファンとメディアは期待した。
 
 もちろん、彼の一番の仕事はマンチェスター・Cに勝者のメンタリティーを植え付けて、あらゆるコンペティションで勝つことであったが、プレミアリーグに革新的なプレースタイルを持ち運ぶことを、他のチームのファンでさえも期待していたのだ。
 
 そうした期待に応えるかのように、スペイン人指揮官は早速、変化をもたらした。その一つがGKにボールを持たせたことだろう。
 
 最終ラインからのビルドアップをGKのプレーの役割の一つとして増やしたグアルディオラは、それまでマンチェスター・Cの守護神を担ってきたジョー・ハートをトリノへと放出し、足下の技術に長けるクラウディオ・ブラーボをバルセロナから買い付けたのだ。
 
 もちろん、グアルディオラの取り入れたポゼッションスタイルがすぐさま定着するわけもなく、新加入のブラーボを含めて、ミスが目立つ試合が少なくなかった。
 
 ブラーボが加わった当初のメディアの反応は、とても興味深いものがあった。彼が何かミスを犯すたびに、グアルディオラが求めるポゼッションスタイルを、「プレミアリーグにおいては愚かなものだ」と言わんばかりに、ネガティブに取り上げることが多かったからだ。
 
 今夏にエバートンから加わったジョン・ストーンズにも、メディアは同様の反応を見せた。
 
 ストーンズはボールを持つことを好み、高いパスセンスを兼ね備えている非常に優秀な若手DFだが、守備者にボールを持つことがあまり求められないイングランドでは、その攻撃的なプレーが論争の的になった。

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