【川崎】中村憲剛が感じる確かな進化。新たにチームが「身に付けてる」ものとは

2016年10月30日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

今シーズンは要所で勝点を取り逃し、勝負弱い印象は否めなかったが…。

鹿島戦では、中村(14番)を中心としたスムーズなパス回しは見られなかった。それでも無失点に抑え、勝点3を獲得した。(C)SOCCER DIGEST

[J1第2ステージ16節]鹿島 0-1 川崎/10月29日/カシマ
 
 辛勝――。

【鹿島 0-1 川崎 PHOTO】森本のゴールで川崎が難敵鹿島に勝利。年間1位に望みをつなぐ
 
 鹿島戦は、まさしく辛くも勝った試合だった。この日の川崎は、序盤こそボールを保持したが、攻撃のアイデアを欠きすぐさまトーンダウン。4-4-2にシステムを変更し、サイド攻撃から若干押し返す時間帯はあったものの、自慢の細かいパスワークは鳴りを潜め、守勢を強いられた。

 キャプテンの中村は、「前半から、なかなか3-5-2で優位性を掴めなかった。それはやっぱり、向こうのプレス(が速かったこと)もありますし、こっちの距離感(が悪かったこと)もあった」と原因を語る。
 
 テンポの良いパスで主導権を握るスタイルは出せなかったが、それでもチームは、途中出場の森本貴幸が決めた1点のリードを守り抜き、勝点3を獲得。年間勝点1位に望みをつないだ。
 
「我慢という言葉が最近よく出るんですけど、今日もそんな感じでした。向こう(鹿島)は、かさにかけて攻めてきましたし、若干『しょうがない』というところはあった」(中村)
 
 今シーズンを振り返れば、第1ステージの優勝が懸かった16節の福岡戦(△2-2)で安易に失点し勝点を取りこぼしたり、第2ステージでは、8節の鳥栖戦(●0-1)、10節の柏戦(●2-5)、12節の大宮戦(●2-3)、14節の神戸戦(●0-3)と、ポロッと黒星を喫するなど、勝負弱い印象は否めなかった。
 
 しかし、前節の広島戦では、出足の鋭いプレスに苦戦し、何度もピンチを迎えながら無失点に抑え、最後に2得点を奪い勝ち切るという、まさに〝我慢″の試合を制すなど、この最終盤に来て勝負強さが芽生え始めている。
 
「ここから1戦1戦の戦いになってくるので、そういう『しぶとさ』を自分らが身に付けてるというのはすごく大きいことだと思います。内容ももちろん求めたいですけど、今は結果が一番大事。今日だって、引き分け以下だったら年間勝点1位も取られてました。そこの意地、この1点を守り切ろうという連帯感はすごくあった。〝らしくない″とか言ってる場合じゃない」
 
 リーグ戦終盤にきてチームに〝しぶとさ″が身についていると手応えを語り、結果が重要だと認識する中村だが、もちろんそれだけでは勝てないことも理解している。

次ページ次の課題は〝いかに追加点を奪うか″。

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