バルサはイニエスタ離脱中に「新時代のヒント」を得られるか?

2016年10月24日 豊福晋

いつかイニエスタ抜きのバルサはやってくる。

10月22日のバレンシア戦でペレスの激しいタックルを受けたイニエスタが負傷。年内復帰は難しい情勢だ。(C)Getty Images

 10月22日、リーガ・エスパニョーラ9節のバレンシア対バルセロナ戦。11分、エンソ・ペレスの激しいタックルを受けたアンドレス・イニエスタが、メスタージャのピッチにうずくまった。チームメイトの顔が歪む。
 
 そのまま交代したイニエスタの診断結果は、「右膝外側側副靭帯の部分損傷、離脱期間は6~8週間」。12月4日に予定されている今シーズン最初のクラシコ出場は難しくなった。
 
 指揮官のルイス・エンリケは「信じられない」という表情を浮かべ、負傷させたペレスに食ってかかったほど。代えの効かないキャプテンを失った失望だけではなく、頭にあったのはバルサに続く不運だ。
 
 昨シーズンに続いて今シーズンのバルサは、とにかく怪我人が多い。2週間前には実に13人もの選手が負傷を抱えていたほどだ。
 
 バレンシア戦の3日前のチャンピオンズ・リーグ、マンチェスター・C戦では開始早々にジョルディ・アルバを、続いてジェラール・ピケが怪我に倒れた。ピケは3週間、アルバは2週間の離脱と比較的軽傷だったことで指揮官を安堵させたが、さらに不運は続き、週末にかけてアルダ・トゥランとラフィーニャも戦列を離れた。わずか数日間で5人を失うことになったのである。
 
 とくに、やはりイニエスタ離脱の反響は大きく、チームメイトも即座に連帯を示した。
 
「元気を出して早く戻ってきてくれ、キャプテン。君が必要なんだ」(ルイス・スアレス)
 
「キャプテンであり、僕の兄弟のイニエスタへ」(ネイマール)
 
 今回の負傷離脱者の中でも、とくにイニエスタとピケは大きなマイナスだろう。2人はもう何年も事実上代役不在と化しており、もちろんそれは今シーズンも変わらない。
 
 しかし、この2人のカンテラーノだって永遠にプレーできるだけではない。いつか彼ら抜きのバルサの時代はやってくる。とりわけ来年5月で33歳になるイニエスタの場合は、そう遠くない未来に別れの時が訪れるだろう。
 
 まだまだやれると思われていたシャビですらも、晩年はパフォーマンスを落とし、昨夏にはバルサを去っていった。クラブもそれを理解しているからこそ、イバン・ラキティッチ(2014年夏に加入)をはじめ、アンドレ・ゴメスやデニス・スアレス(いずれも2016年夏に加入)らを獲得してきた。

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