【内田篤人の告白】希望と絶望の狭間で<パート3>。「精神的にも参るから、相手としては嫌」

2016年10月20日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「ハリルホジッチ監督の要求はあくまでスタンダード」

ハリルホジッチ監督の要求は「スタンダード」という。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 7月初旬、鹿島のクラブハウスを訪れると、練習のピッチには内田の姿があった。パスゲームもこなし、正確なロングボールを何本も味方に通す。右ひざの状態は見るからに良くなっており、そう遠くないうちに復帰できるだろうという期待感を持てた。
 
 その後、シャルケで復帰に向けて調整を続ける内田が10月4日にはMRI検査で「良い結果」を得た。カムバックに向けてひとつ階段を上ったわけだが、そこに至るまでの苦労などを本人の声で振り返りたい。以下のインタビューは、7月にシャルケへ渡る前に記録したものだ。<パート1、2>に続き、<パート3>をお届けしよう。

【内田篤人の告白】希望と絶望の狭間で<パート1>。「その時は正直、治る気がしなかった」

【内田篤人の告白】希望と絶望の狭間で<パート2>。「彼が移籍したダメージは大きかった」

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──昨年12月のサッカーダイジェストの独占取材では「ポジションを変えるなら?」という質問に、内田選手は「CBとボランチ。アンカーもやってみたい」と答えています。
 
「体力よりも頭の使い方が重要そうという意味で、自分に向いているポジションなのかもって思います」
 
──内田選手はSBでプレーする時も、「身体と同じぐらい頭を使っている」と言っていました。
 
「予測して先に動けたら、無駄な体力を使わなくて済む。並んでしまうと、どうしてもね。190センチくらいの選手にはゴリゴリって行かれちゃいますから」
 
──将来を見据えてポジションのコンバートを考えることは?
 
「やってみたい願望はあるけれど、それは監督が決めることなので。僕は指示に従うだけです。ただ、左SBは面白そう。(利き足の)右でボールを持っても広い視野を確保できるから、パスコースがたくさんある。右サイドにいる時は死角になる部分が多いので、左サイドの右利きはいいなと思う。右サイドの左利きもそうだけど」
 
──ということは、右SBとして守りにくい相手は右利きのアタッカー?
 
「僕はそうですね。利き足はさて置き、ネイマールや(リオネル・)メッシもサイドから中に切り込むプレーが得意。日本人なら、宮市(亮)、宇佐美(貴史)、(香川)真司かな。上手くカットインしてコンビネーションで崩すというのが、現代サッカーのスタンダードに映ります。
 
 違う見方をすれば、爆発的なスピードで縦に行けちゃう選手は貴重。ファルファン、ドグラス・コスタ、(フランク・)リベリあたりは、行けちゃうから凄いですよ」
 
――来ると分かっていても止められない。
 
「そうそう、縦に行ける選手。日本人にはいないかな」
 
──スピードと言えば、ハリルホジッチ監督は「縦への速さ」を求めていますね。
 
「監督の要求はあくまでスタンダード。『奪って、速く』というのはシャルケの練習でもやっている。それしかやってないんじゃないかというくらいに。世界の常識と言っても大袈裟ではない」
 
──ただ、それを今の日本代表が実践できているかは疑問です。
 
「練習時間をもう少し増やせればできるんじゃないですかね。シャルケやドルトムントなんて、攻守の切り替えのところしか練習しません。パス回しとかではなく、ボールを奪う、もしくは奪われた後にどうするかという部分に重点を置いています。そういうトレーニングを代表でどこまでできるかじゃないですか」

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