【日本代表】なぜ柴崎ではなく、永木が選ばれたのか――遅咲きのボランチの成功体験とは?

2016年09月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

負けられない福岡戦がターニングポイントに。

今季、湘南から鹿島に移籍した永木は、第2ステージ以降に出場試合数を増やし、チームの勝利に貢献。ハリルホジッチ監督が視察に訪れた天皇杯3回戦・岡山戦では、強烈なミドルを決めてみせた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 もし、柴崎岳の怪我がなかったら?
 もし、遠藤康が長期離脱をしていなかったら?
 
 永木亮太の"運命"は変わっていたかもしれない。しかし、訪れたチャンスに、28歳のボランチは見事に応えてみせた。それは紛れもない事実だ。
 
 第2ステージ8節の福岡戦を迎える前、鹿島は厳しい状況にあった。それまでリーグ戦では3連敗。福岡戦の4日前のスルガ銀行チャンピオンシップでは0-1の敗戦を喫し、"公式戦4連敗"と泥沼にハマっていた。
 
 しかも、7節の仙台戦では遠藤、スルガ銀行チャンピオンシップでは柴崎が負傷。中盤のキーマンふたりを欠く状況で、福岡戦に挑まなければならなかった。
 
 残留争いに苦しむ相手に、第1ステージ覇者が負けるわけにはいかない。この重要な一戦で、柴崎の代役としてボランチで先発したのが永木だった。
 
 今季、湘南から鹿島に新天地を求めた永木は、第1ステージでは主に途中出場からクローザー役として奮闘。第2ステージに入り、スタメンで起用される頻度は高まるも、レギュラーに定着したわけではなかった。
 
 ただ、この福岡戦が、永木にとってひとつのターニングポイントになったのは間違いない。チームは赤﨑秀平と鈴木優磨のゴールで2-1と久々の勝利を収める。フル出場した永木のパフォーマンスについては、「6.5」と採点された弊社Webサイトでの寸評を引用したい。
 
「小笠原との役割分担も問題なし。中盤を自由に動いてボールをさばき、試合の主導権を握る活躍を見せた」
 
 続く湘南戦でも先発に名を連ねた永木は、古巣相手に及第点の働きを見せ、1-0の勝利に貢献。少なくない怪我人を抱えながらも、連勝を飾り、負のスパイラルから抜け出したチームにおいて、永木の存在感は抜群だった。
 
 柴崎のスタメン復帰以降は、2-2で引き分けた10節・横浜戦では途中出場し、小笠原に代わって先発した11節・柏戦は0-2で完敗と、永木本人からすると難しい状況が続く。
 
 掴みかけた良い流れを再び、取り戻すきっかけとなったのが、12節・磐田戦だ。この試合、鹿島の石井正忠監督は、4-4-2のシステムにマイナーチェンジを施す。怪我で長期離脱中の遠藤の定位置である右MFに、柴崎をコンバート。当然、空いたボランチには永木が入り、攻守にフル稼働して、3-0の完勝へと導いてみせた。

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