問題インタビューも“仕込み”だった? トッティ夫人の周到なメディア戦略

2016年09月29日 片野道郎

誕生日の“イントロ”となったイラリーの問題インタビュー。

ついに不惑を迎えたトッティ(左)。その誕生日により話題性を持たせるため、妻のイラリー(右)が大きな動きに出た。(C)Getty Images

 去る9月27日、ローマのフランチェスコ・トッティが40歳の誕生日を迎えた。
 
 ここ10年のセリエAにおいて、フィールドプレーヤーで40歳まで現役だったのは、パオロ・マルディーニ(元ミラン)、ハビエル・サネッティ(元インテル)というふたりの「バンディエーラ」(旗頭=チーム/クラブのシンボルの意)だけ。やはりローマの絶対的なバンディエーラであるトッティもまた、同じように歴史に名を刻むことになった。
 
 マルディーニとサネッティはともにDFだったが(後者はしばしばMFも務めた)、トッティはテクニックはもちろんスピードやクイックネスにおいてもより高いレベルが要求されるFW。このポジションで40歳になっても現役を続け、しかもピッチに立てば決定的な違いを作り出すトップレベルのFWというのは、近年ではほとんど例がない。
 
 同様に40歳まで現役を続けたライアン・ギッグス(元マンチェスター・U)にしても、晩年の主戦場はウイングではなくセントラルMFだった。
 
 ちなみに、同じ1976年9月生まれで、22日に40歳を迎えたロナウド(元インテル、R・マドリーなど)の今(もはや元フットボーラーとは思えない体型)と比べてみると、その違いに驚かされる。
 
 さて、トッティのこの記念すべき40歳の誕生日は、あらゆる意味でマスコミを騒がせる一大イベントになった。その"イントロ"となったのは、誕生日前日の26日付の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』に掲載された、トッティの妻でありイタリアで指折りの人気を誇る女性タレントでもある、イラリー・ブラージの独占インタビューだ。
 
 直前までまったく情報が漏れておらず、完全なサプライズだったこのインタビューは、ローマの周辺を大きく揺さぶることになった。今年2月に起こったトッティとルチアーノ・スパレッティ監督との対立騒動(トッティがTVの独占インタビューで出番の少なさに不満を訴え、それを受けた監督が翌日の試合の登録メンバーからトッティを除外して家に送り返した事件)に、イラリーが言及し、スパレッティの当時の振る舞いを強い口調で非難していたからだ。
 
※2016年2月の「トッティ騒動」核心記事
 
「あの時、フランチェスコは自分の家から追い出されたって、はっきりそう書いてね。ありえないし、あってはならないことだわ」
 
「監督としての選択を非難するつもりはないわ。人としての振る舞いについて非難しているのよ。スパレッティはちっちゃい奴だっていうこと。それが真実よ。彼は口では素晴らしいことも言っていたけど、それは口だけ。 実際にはフランチェスコの存在に我慢できないのよ。人生の重要で難しい時期に直面している人間に対して、取っていい態度と悪い態度があるでしょ?」

次ページ“火消し”に走ったのはトッティ本人だった。

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