「ハリルの機密リスト」に載る、浦和のアウトサイダーが見せた驚異の対応力

2016年09月13日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「弱めのパスが来たら右を狙おうと思った。でも、思ったよりも速いパスが来て…」。宇賀神友弥の選択は?

鳥栖との上位対決で、宇賀神が値千金の先制ゴールをねじ込む! 写真:田中研治

[J1第2ステージ11節]
浦和レッズ2-0 サガン鳥栖
9月10日/埼玉スタジアム2002 
 
 前半終了間際の41分、柏木陽介からのロングフィードを関根貴大が右サイドで身体を張ってキープする。そこから、森脇良太、武藤雄樹、ズラタンと経由して、最後は――。
 
 ズラタンのポストプレーからマイナスに落とされたパスを、左サイドから中央に入り込んでいた宇賀神友弥が右足で合わせる。正確にミートされたボールは、ポストに当たって逆サイドのネットを揺らした。
 
 立ち上がりから続いていた激しいプレッシャーをかいくぐって決まった、第2ステージ2位の浦和と3位の鳥栖による上位対決の行方を大きく左右した貴重な先制弾。ゴールが正式に認められたのをかなり入念に確認したあと、両手を突き上げて歓喜。背番号3のユニホームを指で差して、浦和の「UGAJIN」だとアピールをした。
 
 両ウイングバックが前線に張り出す5トップの攻撃的布陣から、「右→左」に展開する浦和のひとつの理想形からゴールは決まった。しかもストッパー(森脇)も、センターフォワード(ズラタン)も、シャドー(武藤)もパス交換に関与するという、文字通り全員攻撃を具現化した形でもあった。
 
 ただ、そのゴールシーンについて、宇賀神は意外な事実を明かした。
 
「(ズラタンから)弱めのパスが来たら、(宇賀神から見て)右のファーサイドを狙おうと思っていたんです。でも、思ったよりも速いパスが来て、しかもバウンドしていたんです。

 だから咄嗟に、しっかり合わせることだけを考えました(苦笑)。ファーサイドにストレートに蹴る選択肢もあったけれども、GK(林彰洋)がやや前にポジションを取っていたのが見えたので、正面にできたコースを狙いました」
 
 そのように、かなり詳細に振り返っていたのだ。
 

次ページ一切の妥協を許さぬ豊富な運動量と、両足から様々なキックを蹴り分けられる柔軟な対応力が特長。

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