【ミラン番記者】本田圭佑のレギュラー奪取はエベレスト登頂並みの難関だ

2016年09月09日 マルコ・パソット

ミランは冬まで補助食のようなチームで耐え忍ばねばならない。

開幕2試合はベンチを温め続けた本田。ミランでの4シーズン目はかつてないほどの逆風に晒されている。(C)Getty Images

 8月31日の22時。ゴングが鳴って、カルチョメルカート(移籍市場)は閉まった。
 
 今夏のミランの補強は、1986年から続くシルビオ・ベルルスコーニ時代の中でも最も実りの少ないものの一つとなった。
 
 ただ、それも仕方ない面もある。ミランは今、オーナー交代に向けた動きの最中で、全てが完了するのは11月初旬だ。その間、チームの財政を傾けるような大きな出費は、誰にとっても不可能だ。ミランの93.3%の株を持つ『フィニンベスト』(ベルルスコーニの持ち株会社)も、2か月後にはオーナーとなる予定の中国コンソーシアムも…。
 
 そのため必然的に選手の売り買いには慎重になり、メルカートで思い切った動きをすることができなかった。こうしてミランはほとんど補強がされぬまま、新たなシーズンに臨むこととなった。
 
 念の為に総括してみると、この夏にミランが新たに獲得した選手は6人。DFのグスタボ・ゴメス(ラヌースから)、レオネル・バンジョーニ(リーベルから)、MFのホセ・ソサ(ベジクタシュから)、マティアス・フェルナンデス(フィオレンティーナから)、マリオ・パシャリッチ(チェルシーから)、FWのジャンルカ・ラパドゥーラ(ペスカーラ)を獲得するために投じた額は計2680万ユーロ(約32億1600万円)。昨夏のほぼ4分の1である。
 
 もちろん、投資額が多いからといって、良い結果が出るとは限らないというのは、昨シーズンの例からもよくわかるが……。
 
 とにかく、この6人のうち誰も、ミラニスタを喜ばすことはできなかった。まだ夏のメルカートが閉まったばかりだというのに、もう彼らは冬のメルカートを待ちわびている。中国人たちが新オーナーに正式就任しているはずの1月には、もう少し華々しい補強をしてくれるだろうと……。
 
 しかしそれまでミランは、またもや味気もないばかりか栄養価にも乏しい、まるで補助食のようなチームで耐え忍ばねばならない。それも欧州カップ戦がなくセリエAだけを戦うにしては、あまりに多すぎる28人という大所帯で。

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