イグアインのユベントス移籍、水面下はこう動いていた! ナポリは蚊帳の外に置かれ…

2016年09月08日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

カバーニの煮え切らない態度に痺れを切らして…。

7月26日にナポリからユベントスへの移籍が決まったイグアイン。その舞台裏とは? 写真:Alberto LINGRIA

 ゴンサロ・イグアインのナポリからユベントスへの移籍話が生まれたのは、ほとんど偶然のような経緯からだった。
 
 昨シーズンが終わって、ユーベのファビオ・パラティチSDが数日間のバカンスを楽しむため、ナポリ沖にあるカプリ島の五つ星ホテルに逗留していた時のこと。その休暇を一緒に過ごしたのが、ナポリに本拠を置き、以前からパラティチと友人関係にあるマルコ・ソンメッラという若い代理人だった。
 
 2人の間の主な話題は、エディンソン・カバーニ(パリSG)についてだった。ユーベは1年以上前からカバーニの獲得に動いており、ソンメッラも仲介人という立場でこのオペレーションに関わっていた。
 
 しかし、カバーニはシーズンが終わってもなお態度を曖昧にしたまま、ズラタン・イブラヒモビッチ(後にマンチェスター・Uに移籍)の動向を見守っているような具合で、2人が話を進めたくても進めようがないという状況が続いていた。
 
 金銭への執着が強いカバーニは、もしイブラヒモビッチがチームを去れば、それまでの彼と同水準の年俸1000万ユーロ(約12億円)以上という条件で契約を更新できるのではないか、と考えていたようだ。
 
 そういう埒のあかない状況に置かれたソンメッラは、パラティチに「それならイグアインを獲ればいいじゃないか」と言い出したのだ。イグアインもユーベにとっては以前からのターゲットであり、3年前にカルロス・テベス(現ボカ)を獲得した際にも最後まで天秤にかけていたという経緯があった。
 
 パラティチだけでなくソンメッラもまた、イグアインの代理人である兄のニコラスとは旧知の仲であり良好な関係を保っていた。そこでまず2人はニコラスに連絡を取り、そこからイグアイン側との交渉が始まったというわけだ。
 
 ナポリ生まれ、ナポリ育ちで、もちろんナポリのティフォージ(熱狂的サポーター)である代理人が、ナポリからイグアインを連れ去る大きなキッカケを作ったというのは、まったく皮肉な話だ。
 
 両者はまず電話やメールで連絡を取り合い、そこから直接の話し合いへと進んでいった。これはどんな移籍交渉でも一般的な手順だ。直接の話し合いはすべてスペインのマドリードで行なわれた。というのも、イグアインが事務的な仕事を委ねている弁護士がマドリードに事務所を構えているからだ。
 
 ユーベは年俸600万ユーロ(約7億2000万円)をベースに、スクデット、チャンピオンズ・リーグ出場権、出場試合数、ゴールといったさまざまな項目でボーナスをつけ、それを叩き台にして両者の話し合いが秘密裏に進められ、年俸750万ユーロ(約9億円)の4年契約でとりあえずの合意に達した(最終的には700万ユーロ=約8億4000万円の5年契約になった)。

次ページ私がイグアインのスクープを最初に出したのは日本だった。

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