超絶ミドルを懐に忍ばせていた泉澤。「前半はずっと“我慢”していた」

2016年08月14日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「打たれた瞬間、まずいなと思った」と相手GKも脱帽。

圧巻のミドルで先制ゴールをぶち込んだ泉澤。横浜のGK榎本も「あれは凄かった」と称賛していた。(C)SOCCER DIGEST

[J1 2ndステージ8節]
横浜F・マリノス 1-1 大宮アルディージャ
8月13日/ニッパツ三ツ沢球技場
 
 まさに、会心の一撃だった。
 
 スコアレスで迎えた後半、攻撃の強度を上げてきたホームの横浜に対し、いくつかの決定的なピンチにさらされた大宮は、50分過ぎから苦しい展開を強いられる。しかし、先にスコアボードを動かしたのは、劣勢に立たされていたアウェーチームだった。
 
 68分、金澤慎からの横パスをペナルティアークの少し手前で受けた泉澤仁は、対応に来た喜田拓也を細かいステップでかわし、迷いなく右足を一閃。放たれたボールはゴールの角に向かって一直線に飛んでいき、豪快にネットを揺さぶった。
 
 パンチ力のあるシュートに反応し切れなかった横浜のGK榎本哲也も、「あれは凄かった」と相手を褒めるしかなかった。
 
「打たれた瞬間、まずいなと思った。ボールを見ていたら、もうポストに当たって入っていた」
 
 榎本からすれば、少なからず嫌な予感はあったようだ。
 
「一回、(喜田を)かわした時に、これはある、と。ただ、その前の段階で、(ラインが)下がり過ぎていた部分があったし、サイドに押し込まれてからの(金澤の)パスが起点になっていた。あれを防ぐとなると、コンパクトにしていないと厳しいかな」
 
 横浜の最終ラインに人数は揃っていたが、バイタルエリアはやや手薄だった。そのスペースを泉澤は見逃さなかった。
 
「後半になってくると、スペースが空いてくるのは分かっていたので。後半にチャンスがあれば、とは思っていた。前半はずっと"我慢"していましたね」
 
 本人によれば、ミドルでのゴールは「学生以来、ないと思います。ホント、3年ぶりぐらいじゃないですかね」と頬を緩める。記者席では、ゴールが決まった瞬間、「あいつ、あんなのを持っていたのか!」と驚きの声も聞こえてきた。
 
 見方によれば、"まぐれ当たり"とも捉えられるかもしれない。しかし、泉澤からは「我慢」というフレーズが出てきた。つまり、彼は虎視眈々とあの一発を狙っていたのだ。
 
「前半は、やっぱり真ん中が堅かったので。チャンスを上手く活かせましたね」

次ページ勝点3を逃し、「勝ちたかった」と肩を落とす。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事