【セルジオ越後】ボランチをかき集めても、『グランパス』という車はまっすぐ走らないね

2016年07月16日 サッカーダイジェスト編集部

対応が遅れれば、このままズルズルと行ってしまうよ。

リーグ戦ではクラブワースト新記録となる11戦未勝利。降格圏に沈むなど、オリジナル10のひとつであるグランパスが厳しい状況に追い込まれている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 オリジナル10のひとつで、これまで一度もJ2に降格したことのないグランパスが不振に喘いでいる。
 
 先日のアントラーズ戦で0-3の完敗を喫し、リーグでは11戦未勝利と、クラブワースト記録を更新。第2ステージは3節を終えて最下位、年間順位では16位と降格圏に沈んでいる。
 
 開幕当初はそれなりに期待されていたと思うんだ。とりわけ、小倉監督の"監督兼GM"は注目を集めていた。だけど、フタを開けてみれば、現状はこの有様だ。リーグ戦だけでなく、ルヴァンカップもグループリーグ最下位に終わっている。このままでは、新たなチャレンジは失敗と言わざるを得ないよ。

 チームを勝たせられないうえに、補強した選手もあまり機能していない印象だ。グランパスは「監督」だけでなく、「GM」も褒められた仕事ができていないということだ。
 
 今夏のマーケットでは、セレッソから扇原、FC東京からハ・デソンを補強している。開幕前には、明神、イ・スンヒを新戦力として迎え入れているけど、ボランチ(=ハンドルの意味)ばかりをかき集めているのは、さすがトヨタという感じだね。でも、『グランパス』という車はなかなか真っ直ぐに走ってくれない。
 
 ここまで成績を出せていないなら、他のチームであれば、まずは監督を更迭するだろう。でも、グランパスはどうやらそれが簡単にできないようだね。言うまでもなく、監督のクビを切るべき人間が、監督自身なのだから。
 
 シーズン途中に監督が辞めて、どうしても後任監督が見つけられず、GMが監督を務めるケースは稀にある。でもそれは急を要する事態であって、基本的にはノーマルなことではないと思う。しかし、今季のグランパスは最初から「監督兼GM」という職を作り、監督未経験の小倉監督に託した。でも、それが完全に裏目に出てしまったというわけだ。
 
 若い小倉監督にはまだ荷が重かったのだろう。勝てないプレッシャーに苛まれ、心労が絶えないはずだ。もしかしたら、二度と現場などやりたくないと考えているかもしれない。もしそうなら残念なことだし、現状を好転させるための一手を早急に打つべきだ。対応が遅れれば、このままズルズルと行ってしまうよ。

次ページ批判を受けるべき人間はいったい誰なのか。

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