リーグ最少失点の鹿島が3失点で惨敗。堅守を誇るステージ王者になにが起こったのか?

2016年07月03日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

問題は、遠藤に深く侵入されるその前段階にもあった。

リーグ最少失点で第1ステージを制した鹿島だが、宇佐美の欧州移籍で攻撃力が懸念されたG大阪相手に、まさかの3失点で痛恨の逆転負け。(C)SOCCER DIGEST

[J1・第2ステージ1節]鹿島 1-3 G大阪 7月2日/カシマ
 
 見慣れない光景だった。
 
 カシマスタジアムの電光掲示板に「3」の数字が浮かぶ。第2ステージ初戦、G大阪をホームに迎えた鹿島は、23分に赤﨑秀平のゴールで幸先良く先制に成功するも、その3分後、大森晃太郎に同点弾を許すと、迎えた後半、いずれもCKから今野泰幸、金正也に決められ、痛恨の逆転負けを喫した。
 
 12勝3分2敗、29得点・10失点の成績で第1ステージを制した。10失点はリーグ最少で、強固な守備力は今季の鹿島のストロングポイントのひとつだった。
 
 1試合で3つのゴールを許すのは、リーグ戦では今季初。ディフェンスリーダーの昌子源のコメントも、「僕らが甘かった。どこかでやっぱりちょっと、セカンドとファーストの切り替えができていなかったのかもしれない」と湿りがちだ。
 
 最初の失点は、左サイドから崩された。ペナルティエリア付近でキープした遠藤保仁が、攻め上がってきた阿部浩之にマイナス気味のパス。これを阿部がダイレクトで逆サイドにはたくと、大森に右足で流し込まれた。
 
 大森に対峙していた西大伍が寄せ切れなかった部分はある。しかし、問題は遠藤に深く侵入されるその前段階にもあった。
 
 遠藤にパスを出したのは、アデミウソンだった。センターラインで後方からの縦パスを足もとに収めた時、その周囲に鹿島の選手は誰もおらず、まったくのフリーの状態で前を向くことができていた。
 
 そこは2ボランチが埋めるべきスペースだったかもしれない。しかし、小笠原満男は高い位置でのボール奪取を試みてまだG大阪陣内にいたし、柴崎岳はその前の局面で右サイドから果敢に仕掛けていて、戻り切れていなかった。
 
 結果として、アデミウソンにドリブルを許し、鹿島の最終ラインはズルズルと下がり、アデミウソン→遠藤→阿部→大森とつながれ、ゴールを割られた。
 
 2ボランチのポジショニングが悪かったのではないか。柴崎が攻め上がっている以上、小笠原は中盤でステイしておくべきだったように感じる。
 
「うちは、前から行くっていうのは多少あったと思うし、でもあそこで、(スペースが)ぽっかり空いて、(アデミウソンに)縦パスを入れられたのは、チームとしてやってはいけないことだとは思う」
 
 記者の指摘に昌子は同意を示しつつも、「でも、そうなっても」と、自身と、CBでコンビを組む植田直通の対応にむしろ課題を見出していた。
 

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