見事な同点弾、PK戦では自ら志願――驚異の18歳、レナト・サンチェス

2016年07月01日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

殊勲の同点弾! 大会史上3番目に若いゴールスコアラーに。

決勝トーナメントに限れば、大会史上最年少の得点者となったサンチェス。ポーランド戦では最も強い印象を見る者に与えた。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 この日の主役は大エースのクリスチアーノ・ロナウドでも、スーパーサブのリカルド・カレスマでもなく、18歳のレナト・サンチェスだった。
 
 EURO2016のベスト8、6月30日のポーランド対ポルトガル戦。グループステージの初戦と3節、ラウンド16で途中出場していたサンチェスは、右の攻撃的MFで今大会初スタメンを果たした。
 
 しかし、ポルトガルは開始2分でロベルト・レバンドフスキにゴールを許し、いきなりビハインドを背負う。この窮地を救ったのが、背番号16だ。右サイドを起点に、中央に左サイドにとエネルギッシュに動き回り、ポルトガルの攻撃を活性化する。
 
 そして、33分だった。
 
 オン・ザ・ボールで右サイドを前進したサンチェスは、ペナルティーエリア手前で右前方のナニにパス。ダイレクトで戻ってきたボールを右足でトラップ後、即座に左足を振り抜くと、ゴールネットに突き刺さる。この貴重な同点弾は、大会最年少得点記録で3番目にあたるものだった。
 
 サンチェスはその後も、ドリブル、パス、ボール奪取などで貢献。後半に入って消える時間が増えたし、やや状況判断が甘いシーンも見受けられたが、延長戦を含めて120分間を戦い抜いた。
 
 そして、PK戦ではC・ロナウドに続く2番手で登場。臆することなく右足を振り抜き、見事にこれを成功させる。ポーランドの4人目、ヤクブ・ブワシュチコフスキが失敗し、ポルトガルは2大会連続でベスト4進出。サンチェスはUEFA選定のマン・オブ・ザ・マッチに選出された。
 
「右サイドで上手くプレーできた。いきなりの失点を取り戻そうと、ゴールは狙っていた。決まって良かったよ。マン・オブ・ザ・マッチはもちろん嬉しいけど、チームが勝ったことが何よりも大事なんだ。努力が報われ、幸運を手にすることができた」
 
 試合後、そう語ったサンチェスは、PK戦に関しては次のようにコメントしている。
 
「監督が希望者を募った。クリスチアーノ(ロナウド)が1番手を引き受けてくれたから、僕は2番目がいいって言ったんだ。監督は自分を信頼してくれたし、僕も自信があったよ」
 
 日本でいえば、高校を卒業したばかりの年齢(今年8月18日で19歳)で、巨大なプレッシャーがかかるEUROのベスト8でPK戦に志願し、見事に決め切る――、パーソナリティーの強さは半端ではない。

次ページクラブでは昨秋にトップチーム昇格、A代表では今春デビュー。

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