【連載】霊長類ヒト科サポーター図鑑vol.12時任聰明(ロアッソ熊本東京応援団団長)「遠く離れた場所にいるからこそ、できること」

2016年06月28日 宇都宮徹壱

「千葉戦は、久々に地震のことを忘れてワクワクしました」

熊本の東京応援団団長を務める時任さん。苦境に陥ったチームを力強く後押ししている。写真:宇都宮徹壱

時任聰明(ロアッソ熊本東京応援団団長)
 
 出身は熊本の益城町です。今回の地震で最も被害が大きかった地域ですね。幸い家族は無事でしたが、実家は半壊してしまいました。もちろん実家のこと、熊本のことはずっと気になっていますが、遠く離れた場所にいるからこそ、できることがあるんじゃないかと。それはロアッソを応援することに関しても、まったく同じだと思っています。
 
(地震後、初のリーグ戦となった)5月15日の千葉戦は、久々に地震のことを忘れてワクワクしました。ゴール裏のみんなと再会できて、本当にいい週末だなと思い、これでようやく「ひとつ前に進むことができた」と感じました。感動したのは、千葉の人たちが本当に温かかったことです。(最寄り駅の)蘇我からフクアリに向かう途中、あちこちで「頑張れよ!」って声をかけてもらい、試合前と試合後にはエールを送ってもらいました。試合は0-2で敗れましたが、あれにはぐっときましたね。
 
 その1週間後に(ホームスタジアムのうまスタが使用できなかったため)柏で水戸とホームゲームをさせていただき(●0-1)、神戸での町田戦(●0-2)、岡山とのアウェー戦(●1-2)と敗戦が続きました。
 
 地震前から数えて6連敗。いろいろなスタジアムをお借りしてホームゲームができる有り難さを感じる一方で、なかなか勝てないチームと苦しそうな選手たちの表情を見ているのは正直辛かったです。リーグに復帰したばかりの時は、練習不足や調整不足といった言い訳はできましたが、試合を重ねるごとにそれができなくなりますから。選手には「勝ってほしい」というよりも、「とにかく楽になってほしい」という想いのほうが強かったです。
 

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