ベイルが8強進出に「ファンタスティックな気分」と興奮。ウェールズの夢物語は、どこまで続くのか――。

2016年06月26日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

左サイドから上げた高精度のクロスが相手のオウンゴールを誘う。

チャンスが少ないなかで、一瞬の隙を逃さずウェールズに決勝点を呼び込んだのはベイルだった。 写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 キックオフ直前、たったひとりで赤色に埋まるスタンドのサポーターに近寄って、軽く手を叩く。まるで、「今日も俺に任せておけ」と言っているかのようだった。
 
 EURO2016のグループステージで3試合連続ゴールを決めたガレス・ベイル。6月25日のラウンド・オブ16、今大会二度目の"英国ダービー"となったウェールズ対北アイルランド戦で、再びそのパフォーマンスに熱視線が注がれた。
 
 いつものように3-4-2-1システムの2シャドーの一角に入った背番号11は、これまで通り右、中央、左と前線を自由に動き回る。しかし、ウェールズは北アイルランドと同じくビルドアップの局面で単純なミスを連発。ボールを受けるには前線から中盤まで下がらざるをえない。11分には中盤右サイドでパスを貰い、そのまま3人に囲まれながら縦に抜け、アーロン・ラムジーに斜めのクロスを供給した。
 
 23分には左サイドから初シュートを放つも当たり損ね、43分には再び右サイドで2人を抜き去ってクロスを上げるも失敗。前半はなかなか良い形で仕掛けられなかった。
 
 後半の最初のチャンスは57分。右サイドから中央に突破してファウルを食らい、直接FKのチャンスを得る。ゴールまで約30m。グループステージで2本叩き込んでいるだけに、スタジアム中に期待が膨らむ。しかし、ドライブ回転がかかったボールは縦に落ちたもののコースが甘く、相手GKにパンチングで防がれた。
 
 しかし、75分だった。左サイドでフリーになると、ラムジーからのパスをダイレクトで叩いて中央に折り返す。絶好のクロスに仲間のハル・ロブソン=カヌーが飛び込むと、その手前で敵のガレス・マコーリーの足先に当たり、ボールはゴールネットに突き刺さった。
 
 結局、このオウンゴールが決勝点となり、ウェールズはEURO初出場にしてベスト8進出の快挙を成し遂げた。その立役者は、やはりベイルだろう。ボールを持てば、自軍サポーターからは最大の歓声を、敵軍サポーターからは最大のブーイングを浴びたスーパースターは、何度も2、3人を軽くいなし、誰よりもファウルを受けながらも、決定的なクロスを供給して母国を勝利に導いたのだ。
 
 

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