【現地記者の英国通信】過去の主要大会とは違うイングランド国内の穏やかな楽観主義

2016年06月18日 スティーブ・マッケンジー

イングランド代表チームへの大胆な予言はまったく出ていない。

イングランドはウェールズ戦に勝利し、グループステージ突破へ前進した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 6月10日に開幕したEURO2016。イングランドのファンにとって、今回のEUROまでの流れは、過去数回のワールドカップやEUROとは違っている。これまでは、イングランド代表への期待が非常に高く、優勝を望む声すらあった。しかし周知のように、そうした非現実的な期待は今大会に限ってはほとんど見られない。
 
 今大会へのイングランドでの期待度は、私から見ると、ファンもメディアも「静かに楽観視している」といったこところだ。どれだけ成功するかについて、大胆な予言はまったく出ていない。
 
 イングランド代表の中核には、とても若く才能にあふれた選手が揃っており、これは素晴らしいことだ。若い選手は恐れ知らずで、それだけにポテンシャルも非常に高い。
 
 プレミアリーグの第一線に躍り出たハリー・ケインやデル・アリ、マーカス・ラッシュフォードといった選手は大胆不敵で、そうした姿勢があればどんなことでも可能だ。もし成功を収められなかったとしても、まだ若いだけに次回以降の大会でいくらでもチャンスがある。
 
 イングランド代表にフランク・ランパード、スティーブン・ジェラード、ジョン・テリーといった選手がいた頃、私はいつも感じていた。彼らはすでにピークを過ぎていて、しかも全盛期に主要タイトルを獲得できなかったじゃないか、と
 
 また私は、今シーズンのレスターシティの素晴らしい快進撃がEURO2016への関心を逸らし、代表選手のプレッシャー軽減につながった部分もあると考えている。フットボールファンの注目はレスターシティに集中していたため、EUROへの関心は大会直前の段階になってようやく高まってきた。そのため、イングランド代表の選手たちはさほど重圧を感じずに済み、またファンが極度に興奮することもなかったのだ。
 

次ページほぼ毎試合プレミアリーグの選手が登場する楽しみ。

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