次世代の「代表CB」筆頭候補の昌子源。浦和を相手に貫いた“俺流ディフェンス”の極意

2016年06月13日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

相性の悪い浦和の攻撃を、鹿島はいかにシャットアウトしたのか。

興梠(30番)とのマッチアップを振り返り、昌子は「フリックとトラップの使い分けがやっぱり上手い。点は入れられてないけど、要所のプレーでは一枚も二枚も上手だった」とコメント。(C)SOCCER DIGEST

[J1・1stステージ15節]浦和 0-2 鹿島 6月11日/埼玉

 現時点で鹿島がリーグ戦で最後に負けたのは、4月の8節・柏戦だ(0-2)。その後の7試合は5勝2分と無敗。その内、4試合でクリーンシートを達成と、盤石の守備力をベースに逆転ステージ優勝へと向けて突き進んでいる。
 
 4-0で完勝した前節・甲府戦後、CBの昌子源は15節の浦和戦を見据え、次のように予想を立てていた。
 
「浦和は特徴的な攻撃をしてきて、前にかかる人数も多い。僕らがボールに関わってないところでも、声で周りを動かす必要がある。相手は変則的なフォーメーションなので、(2ボランチの小笠原)満男さんや(柴崎)岳のマークに関して、常に声を出していかないといけないと思います」
 
 果たして、鹿島は浦和戦でも2-0の完封勝利を収めてみせる。リーグ戦における対浦和戦の勝利は、実に6年ぶりだ。シュート数は13対16と自分たちもより多く打たれ、終盤は押し込まれる時間帯が長かったが、チーム全員が身体を張って守り、ゼロで凌ぎ切った。
 
 では、苦手としている浦和の攻撃を、鹿島はいかにシャットアウトしたのか。
 
 浦和の前線はCF+2シャドーで構成されているが、相手の前の3枚に対し、鹿島守備陣は、石井正忠監督が「ボランチはいつも後ろに1枚は残らないと対応できない」と語ったように、基本的には2CB+ボランチ1枚で対応した。
 
「できたら(相手の)シャドーは、ボランチに見てほしかった。岳とかは攻撃的な選手だけど、守備的になる時間帯が長くなる可能性があるとは伝えていました。そのなかで、岳と満男さん、途中から入った(永木)亮太君は、僕らの前に常にいて、時にはシャドーにマンツーでついて行ってくれたり。そういうのがすごく効いていたと思います」
 
 それでも、シャドーだけでなくCFも流動的に動いてくる鹿島の攻撃陣に、CBの昌子や植田直通が釣り出されて、最終ラインにギャップが生じるケースが散見。空いたスペースを相手に突かれれば一気にピンチに陥る危険なシチュエーションだが、鹿島側もお互いに声を掛け合い、連動したディフェンスで対抗した。
 
「俺らが出たら、満男さんや岳が気を利かせてくれてCBの位置に戻ってくれる、という感じでやっていたので。監督からも『迷わず、怖がらずに行け』という指示はありました」
 
 事実、ひとつ落ちてきてボールを受けようとする相手に対し、昌子は前半から鋭い出足と思い切りの良さで前に出て行き、前を向かせない対応を見せる。アグレッシブな守備で浦和の攻撃のリズムを狂わせていた。
 
 もっとも、ただ前に出て行ってガツガツ行くだけではなかった。そこには、昌子なりのCBとしてのチャレンジがあった。
 
 

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