1年ぶりの代表のピッチで躍動した川島永嗣。PKストップを指揮官も絶賛

2016年06月04日 本田健介(サッカーダイジェスト)

出場は昨年6月のシンガポール戦以来。「試合前には高ぶるものもあった」。

1年ぶりに日本代表のゴールマウスを守り、PKを阻止した川島。試合後には満面の笑みを見せた。茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンカップ]日本代表7-2ブルガリア代表
6月3日/豊田スタジアム
 
 7ゴールを奪い快勝したブルガリア戦に特別な感情を持って臨んだ男がいた。それは昨年6月のワールドカップアジア2次予戦のシンガポール戦以来、約1年ぶりに日本のゴールマウスを守った川島永嗣だ。
 
 川島はこの1年、紆余曲折の日々を経てきた。昨年5月に3シーズン過ごしたスタンダール・リエージュを退団するも、その後は新天地が見つからず、浪人生活を強いられた。昨年12月にはスコットランドのダンディー・ユナイテッドへの加入が決まるが、チーム成績は振るわず降格の憂き目に遭った。
 
 日本代表には3月のワールドカップ2次予選、アフガニスタン戦、シリア戦で約9か月ぶりの復帰を果たしたが、出場はなし。川島不在の間には西川周作が台頭し、東口順昭も存在感を高めていた。
 
 それだけに久々の代表戦に「気持ち的に高ぶるものもあった」という。
 
「ここまでいろいろなことがあった。チームが決まらず、練習できない時もありました。でもそういう時でも成長するためにやってきた。自分ができることをやりたいと思っていた。これは始まりにすぎないです。今後はどれだけ勝利に結びつくプレーができるかが大事。もっと成長したいし、続けてやっていきたい」
 
 勝利に結びつくプレーを――。その想いは、記者席まで聞こえるような大声でのコーチングとなってピッチへ広がった。また、22分には、相手FWの会心のヘッドをファインセーブしている。そして最大の見せ場は試合終了間際、相手のPKの場面だった。
 
「ギリギリまで待とうと思っていました。最初は右利きの選手が蹴ると思っていたんですが、左利きの選手が蹴った。最後まで我慢して、調度タイミングが合いました」
 
 そう語った守護神は、素早い反応と強靭な左手で相手の強烈なシュートを阻んで見せた。
 
 試合後、ハリルホジッチ監督も「素晴らしいプレーをしてくれた」と、その活躍ぶりを賞賛した。
 
 ただ、2失点した自身の出来とチームのパフォーマンスには課題を挙げる。

次ページ勝って兜の緒を締める――百戦錬磨のGKは、日本の勝利のために常に危機感を抱く。

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