【リオ五輪代表】奇跡の復活を信じる室屋成。「6月末の親善試合」までに間に合えば――

2016年06月09日 小田智史(サッカーダイジェスト)

落ち込んだ時期もあったが、〝あの先輩〞の姿を見ていたら『俺もやらなあかんな』と。

厳しいリハビリを乗り越え、練習を再開した室屋。日に日に状況は良くなっている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 1月のアジア最終予選でリオ五輪出場の立役者となったSBは、翌2月、プロ入りを決断した数日後に左足骨折の悪夢に見舞われた。しかし、まさかのアクシデントにもめげず、奇跡の復活へと突き進む。一点の曇りもないその表情が、室屋成の明るい未来を予感させた。

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――コンディションはどうですか?

  
 最近歩けるようになってから、急激に上向いているような気がします。日に日に良くなっている手応えはありますね。
 
――練習でダッシュしている姿を見ても、調子の良さは窺えます。
 
 (ダッシュができるようになるまで)室内でかなりきついトレーニングをしてきましたから。心肺機能も戻りつつあります。(走りの)タイムも伴ってきているので、心配ないかなと思います。
 
――それにしても、あの骨折は悪夢でしたよね。プロ入りを発表した数日後のキャンプ初日(2月 11 日) 、さあ、ここから 。というタイミングで戦線離脱を余儀なくされたわけですから。モチベーションを保つのは難しかったのでは?
 
 最初は落ち込みました。『自分はタフ』だと信じていたのに、あっさり怪我をして……。入院中はリハビリもできず、一番辛かったです。ポジティブになろうとしても難しくて、いろいろと考えてしまいました。

――そこからどう立ち直ったのでしょうか?

 きっかけは石川選手(石川直宏)です。リハビリを始めた頃の自分は、やる気の出る日と出ない日にばらつきがあったんですが、石川選手にはそういうムラがなくて。僕よりもずっと長い期間リハビリをやっているのに、毎日ポジティブで、きついメニューでも決して弱音を吐かない。そんな先輩の姿を見ていたら、『俺もやらなあかんな』と。石川選手を 見習って、選手としても人間としても、もっと強くなれたらいいと思うようになりました。
 
――明治大の仲間はお見舞いに来てくれましたか?
 
 LINEやメールをくれたり、メッセージを書いたユニホームを病院に届けてくれたり、励ましてくれました。今でも『調子はどう?』みたいな感じで連絡をくれますし、良いヤツばかりですよ(笑)。
 
――今年1月からの約5か月間を改めて振り返って、どう思いますか?
 
 (アジア最終予選の開催地)カタールから帰ってきて、プロになったと思ったら、骨折ですからね。この先もいろんなことが起きるかもしれないし、凄く楽しい1年になりそう です(笑)。

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