モウリーニョ招聘でマンUの強化は敏腕代理人の支配下に?

2016年05月27日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

事実上の合意が成立した1月の段階で紳士協定が結ばれていた。

5月27日にユナイテッド新監督就任が決定したモウリーニョ。憧れのクラブでいかなる手腕を発揮するのか。(C)Getty Images

 5月27日、ジョゼ・モウリーニョのマンチェスター・ユナイテッド新監督就任が正式発表された。その4日前に解任されたルイス・ファン・ファールの後釜である。
 
 モウリーニョとその代理人ジョルジュ・メンデス、そしてユナイテッドのエド・ウッドワード副会長の間には、事実上の合意が成立した1月の時点で、すでに「紳士協定」が存在していた。チャンピオンズ・リーグ出場権の有無にかかわらず、モウリーニョは新シーズンからレッドデビルズの指揮を執ることになっていたのだ。
 
 肖像権など細部の交渉を先延ばしにして契約書へのサインがこの時期までずれ込んだのは、ファン・ハールへの最低限のリスペクトからにすぎない。
 
 ユナイテッドの指揮官として、オールド・トラフォードに立つ――。それはモウリーニョにとって最大の夢であり、さらに代理人のメンデスにとっても、このイングランドの名門クラブを自らの完全な影響下に収めることは、大きな目標だった。
 
 それもあって2人は、昨年12月のチェルシー退団の直後からすぐに、ユナイテッド行きを画策して水面下で動き出していた。早くも解任の翌週には、メンデスとウッドワードが最初の話し合いを持っていたほどだ。その後、ローマ行きやレアル・マドリー復帰の可能性も出ていたが、ともにキッパリと断りを入れた。
 
 ユナイテッドも、今シーズン限りでファン・ハールを切るという決断を下して以降、モウリーニョを唯一の後任候補と考えていた。マスコミレベルではマウリシオ・ポチェティーノ(トッテナム監督)などの名前も挙がっていたが、実際に他の候補と交渉の場を持つことは一切なかった。
 
 考慮したのは唯一、アシスタントコーチを務めるライアン・ギグスの抜擢人事。しかし、3シーズン続けて不本意な結果に終わり、チームが大きな混乱に陥っている現状で、クラブのレジェンドとはいえ監督経験のまったくないギグスに運命を委ねるのは、あまりにもリスクが大きい。結局はこの案も退けられた。
 
 マスコミレベルでは一時期、ファン・ハールを途中解任してモウリーニョを後釜に招聘するというシナリオが噂に上った。しかしこれは、モウリーニョ自身が当初からまったく考慮に入れていなかった。中途半端な形でチームを引き受けても、リスクが大きくなる反面、自身にはなんのメリットもないからだ。話し合いは一貫して、来シーズンからの就任を前提に進められていた。

次ページメンデスは監督だけでなく強化部門責任者も送り込もうとしている。

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