【ブンデス現地コラム】熾烈を極める残留争いを展望。16位フランクフルトは調子を上げてきた長谷部がキーマンに。

2016年05月06日 中野吉之伴

6チームが勝点4差のなかでひしめき合う混戦模様に。

残留を争うシュツットガルトとの直接対決で6-2と大勝したブレーメン。街をあげてのサポートがチームを後押ししている。(C)Getty Images

 32節を消化したブンデスリーガは、残すところあと2試合。注目は、熾烈を極めている残留争いだ。17~18位が2部に自動降格し、16位は2部3位との昇格/降格プレーオフに進む。清武弘嗣、酒井宏樹、山口蛍が所属する最下位ハノーファーの降格はすでに決定し、12位アウクスブルクから、13位ホッフェンハイム、14位ダルムシュタット、15位ブレーメン、16位フランクフルト、17位シュツットガルトの6チームが勝点4差のなかでひしめき合う混戦模様となっている。

 毎シーズンのように残留争いは劇的なドラマを生む。今シーズンはどのような結末が待っているのだろうか。現在のチーム状況を整理しながら、今後の展開を展望する。

 ともに勝点37の12位アウクスブルクと13位ホッフェンハイムは、よほどのことがない限り残留を果たすだろう。今シーズンのヨーロッパリーグに出場したアウクスブルクは過密日程の影響で持ち味のハードワークに翳りが見え、勝点を伸ばせない時期が長かった。しかし、1月に獲得したCFアルフレッド・フィンボガソンが徐々にフィットし、29節からは3連勝を飾るなど調子を上げてきている。相変わらず守備は安定しているだけに、シャルケ、ハンブルクとの残り2試合で最低でも勝点1を取れれば、残留は確実だろう。

 一方のホッフェンハイムは、一時最下位まで落ち込んでいたとは思えないほど質の高いサッカーを披露している。ユリアン・ナーゲルスマン監督の緻密な戦術を選手がしっかりとピッチ上で表現。33節はすでに降格が決まっているハノーファー、34節はアウェーに弱いシャルケが相手だけに、明るい展望が描ける。

 14位ながら、かなり厳しい状況に追い込まれているのがダルムシュタットだ。2連敗中で、特にフランクフルトとのヘッセン・ダービーを1-2で落とした前節の敗戦が痛かった。残りは5位ヘルタ・ベルリン(33節)、4位ボルシアMG(34節)と勝点を計算できない上位陣との対戦を控えており、降格の可能性は大いにある。この2試合で何とか勝点1を挙げ、最低でも昇格/降格プレーオフ圏内の16位で終えたい。

 32節で下位に低迷するシュツットガルトとの直接対決を6-2という大勝で乗り切ったブレーメンは15位に浮上。スタジアムにはサポーターが大挙し、街をあげてのサポートがチームを奮い立たせている。シュツットガルト戦後にはヴィクトル・スクリプニク監督が「鳥肌が立った。まるで2004年にリーグ優勝したときのような気分だ。エネルギーを送ってもらえた」と感謝の言葉を口にしていた。得点力に難があるケルンとのアウェー戦(33節)を引き分け以上で乗り切り、ホームにフランクフルトを迎え撃つ最終節は余裕を持って臨みたい。幸いホームでは後半戦はわずか1敗と安定した成績を収めているだけに、最終的には残留を勝ち取る可能性が高そうだ。

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