【横浜】ポジティブとネガティブの境界線――18歳のルーキーが直面する「結果」へのジレンマ

2016年05月04日 安藤隆人

ルーキーながら先発フル出場も経験。一見、順風満帆な船出も本人にはある思いが…。

10節終了時で8試合に出場。うち5試合がスタメン出場だ。遠藤は紛れもなく主力の一員として見られている。写真:徳原隆元

 ポジティブとネガティブ――。誰もが相反するふたつのメンタルを抱えながら戦っている。経験の少ないプレーヤーであればあるほど、このふたつの感情に折り合いをつけながらプレーすることは、決して簡単ではないはずだ。
 
 ルーキーの遠藤渓太もそのひとりだ。今年、横浜FMユースからトップ昇格を果たすと、モンバエルツ監督の目に留まり、J1リーグ第1ステージ3節の新潟戦で早々とJデビューを、しかもスタメン出場で飾る。続く鳥栖戦でも2戦連続のスタメン出場。ベンチに回ることもあったが、コンスタントに出場し、当然のようにU-19日本代表にも選出された。そしてゴールデンウィークに突入した4月30日の第1ステージ9節の湘南戦でも、左サイドハーフで先発し、初のフル出場を果たした。
 
 順風満帆に見える遠藤のルーキーイヤーだが、それとは裏腹に彼の表情は曇りがちだった。
「出られているのは嬉しいけど、結果を出さないといけないポジションにいるのに、結果を出せていないジレンマはあります。自分のなかでは毎試合、点を取るつもりでいる。でも、現実には結果が伴っていない。それが悔しいです」
 
 湘南戦後、チームも0-1で敗れたこともあり、遠藤の表情は険しかった。
 
「出るからには結果を出さないといけない」
 
 筆者はこれまで、多くのルーキープレーヤーからこの言葉を聞いて来た。確かに、プロとしてピッチに立っている以上、ルーキーかそうでないかを問わず、結果にこだわらなければいけない。だが、プロとして若い選手に求められるものは、中堅やベテラン選手のそれとはまた少し異なってくる。ルーキーや2年目辺りの選手であれば尚更違うだろう。
 
 結果という言葉を口にするルーキーたちは、「結果」という言葉に囚われ過ぎてはいないだろうか。結果を出すことに必死になるのは良いが、出なかった時に、その必死さがどんどん焦りや不安に変わり、自分本来のプレーを見失いがちになる。
 
 ただ一方で、遠藤のように考え悩むことも、経験を積み重ねるという意味では重要だ。
 
 決してネガティブになることはない。ルーキーにもかかわらず、ここまでコンスタントに試合に出場し、この葛藤を1年目から経験できることは、遠藤にとってとてつもない財産になることは間違いないのだから。
 

次ページ湘南戦のプレーに見えた遠藤の「結果」に対するジレンマ。

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