【柏】待望のJ1初ゴールを挙げた山中亮輔。自慢の左足を武器に再起を期す

2016年05月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

度重なる負傷にも腐らず、好調のチームを分析していた。

山中(6番)は復帰戦でフル出場。「90分をとおして集中力を切らさないことを意識してプレー」した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 鋭角な助走から左足でゴール前に送られたボールは一度GKの手前でバウンドし、そのままネットを揺らした。
 
 J1リーグ9節・柏対神戸、15分のFKの場面。「そのまま入ってもいいと思って、なるべく速いボールを入れた」。キッカーの山中は自身のJ1初ゴールをそう振り返った。
 
 4月20日に23歳の誕生日を迎えたSBは、左足のキックを武器に各年代で代表に名を連ね、今年1月にカタールで行なわれたU-23アジア選手権(リオ五輪最終予選)でも優勝に貢献した。

 その後3月にU-23代表のポルトガル遠征メンバーにも選ばれる。しかし、遠征直前に右短内転筋肉離れを起こし、遠征を辞退。また、4月11日~13日まで開かれたU-23日本代表候補キャンプにも招集がかかったが、再び同じ怪我で不参加となった。

 度重なる怪我に見舞われ、同世代の選手に後れをとっていた。さらに、チームは開幕直後不調に陥っていたが、山中が負傷で戦線を離脱している時期に復調し、連勝を飾っていた。
 
 「焦りはありましたね。怪我で2回代表にいけなかったのですごく苦しかった。怪我する前はコンディションも良かったですし、そのコンディションをまた戻すのは大変でした」
 
 焦りもあるだろう。なぜなら今季の柏は、神戸戦のスタメンの平均年齢「22.91歳」という数字からもわかるように若手が主体になっている。同年代の選手が身近で活躍し、チームの好調の要因となっていればなおさらだ。それでも山中はそこで腐らなかった。
 
 「チームがどうして調子が良いんだろうという目線で試合を見ていました。(ボールを奪われた瞬間にすぐ近くの選手が寄せる)ダイレクトプレッシャーを出ている選手が体現できていた。それが勝っている要因だと思い、テレビで観ながら意識していました」
 
 好調のチームを分析し、復帰に備えた。そして、9節の神戸戦で3節ぶりにリーグ戦に出場の機会を得た。

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