【鹿島】“凱旋試合”で手応えを掴んだ永木に「今日は亮太のおかげ」とチームメイトも賛辞

2016年04月17日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

安定感のあるプレーで攻守をつなぎ、「得点につながるプレーも2回あった」(永木)。

かつてのチームメイトと激しくやり合う。思い入れのある古巣との対戦でチームの勝利に貢献した永木は、レギュラー奪取に向けて着実に前進した。写真:徳原隆元

 キックオフ前の選手紹介で、アウェーの鹿島のメンバーを読み上げる湘南のスタジアムDJは、"6番"の時だけ、他の選手とは異なり、背番号を口にした後、ほんの少しだけ間を置いてから、「永木亮太」とその名をスタジアムに響かせた。

【PHOTOギャラリー|湘南 0-3 鹿島】
 
 場内からは、拍手が沸き起こる。まだピッチにその姿を現わしていない永木の耳には届かなかったが、そのことを伝えると、「嬉しいですね」と頬を緩ませた。
 
 永木にとって湘南は「思い入れのあるチーム」だ。特別指定でのプレーを経て、11年の加入以後、5シーズンを過ごした。そして今季、鹿島に新天地を求めたわけだが、思い出の詰まったShonan BMWスタジアム平塚での古巣との対戦となった今節、ボランチのレギュラーで、チームの大黒柱でもある小笠原満男が出場停止で欠場。その代役として、鹿島の石井正忠監督は、新戦力の永木を抜擢した。
 
 これまでリーグ戦では途中出場が続いていた永木が、"凱旋試合"で今季初めて先発の座を掴み取る。運命の巡り合わせを感じずにはいられないこのゲームで、背番号6はチームを勝利に導く活躍を見せた。
 
 報道陣から自身のプレーについて聞かれると、確かな手応えを口にした。
 
「全体的に悪くなかったかなと思う。サイドチェンジも意識してやっていて、攻撃の起点になる守備もできたし、得点につながるプレーも2回あった。そういうところは自信になります」
 
 序盤こそ、相手のカウンターを招くパスミスもあったが、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、的確にパスを捌きながら、安定感のあるプレーで攻守をつないでいく。
 
 そして、1-0で迎えた前半終了間際、右サイドから正確なクロスをゴール前に供給。これにカイオが反応してヘディングシュートを試みるも、ミートできず。しかし、左サイドに流れたボールを攻め上がっていた山本脩斗が折り返すと、相手のオウンゴールを誘い、チームは貴重な追加点を挙げた。
 
 さらに65分、ルーズボールの競り合いで身を挺してボールをキープした永木は、近くにいる遠藤康にパス。そこから金崎夢生とつながり、最後は土居聖真が勝負を決定づけるダメ押し点を右足で流し込んだ。
 
 決定的な仕事はなかった。得点もアシストも記録はつかないが、永木を起点にふたつのゴールが生まれたのは紛れもない事実だった。
 
 土居のチーム3点目をともに演出した遠藤は、永木のパフォーマンスについて次のように評価する。
 
「亮太は誰が見ても良い選手。攻撃ももちろん良かったですけど、守備の部分で、セカンド(ボール)の拾い方とか、球際は亮太の持ち味。それでだいぶチームが助かったので、今日は亮太のおかげでもあるかなと思います」
 

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