【磐田】松井大輔がいよいよ本領発揮。名波監督も脱帽する34歳の「超一流プロの振舞い」とは?

2016年04月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

「淡々と、変わらずにやることが大切」

ナビスコカップの甲府戦で鮮烈な一発を放った松井。技のキレはいまだ衰えてはいない。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 4月6日のナビスコカップ・甲府戦の開始1分、観る者の度肝を抜くドライブシュートを決めると、同10日のJ1リーグ・新潟戦では、「相手が嫌がっているボックス脇に走り込むからパスを出してほしい」という中盤への要求通りのプレーで守備を揺さぶり、途中出場からわずか数分後にPKを奪い取った。
 
 松井大輔が好調だ。
 
 と言っても、それは特別なことでも、今に限ったことでもない。「自分自身の調子は、去年からずっと良いと思います。それは選手である以上、維持すべきことですからね」
 34歳は柔らかな口調でそう語る。
 
 一昨年、長い海外生活を終えて帰国し、磐田に加入した。経験、技術に加え"サッカー頭脳"のレベルの高さも、チームはもとより国内屈指の名手。しかし加入したシーズンはキャプテンとして出場を続けたが、昨季からここまで、出場機会は決して多くはない。
 
 それでも松井は、練習のピッチはもちろん、クラブハウスでもトレーニングルームでも、一瞬たりとも手を抜かない。飄々と、自然体で、サッカーに関わるすべてをどこか楽しげにこなす。ましてや、出場機会がそれほど多くないからと言って"腐る"などという態度とは、まったく無縁だ。
 
「淡々と、変わらずにやることが大切だと思います。ベンチスタートは以前にもあったし、そういうことで精神的に揺れてしまうと、調子も悪くなってしまいますから」
 
 名波監督は、その態度に「頭が下がる」と常々言っている。
「直前に出番を告げても大輔は『え?』とはならない。『いつでもOKですよ』という感じ。どんな時も準備ができているのは、出られなくても練習を(先発メンバーと)同じスタンスでやっているからでしょう。プロなら当たり前と思うかもしれないけど、あのレベルでそういうことをやり続けるのは実は難しい。若手に対しての言動も、立ち居振る舞いも、超一流のプロです」
 
 背中が、見本となっているだけではない。中堅・若手へのフランクで的確な声がけも、今のチームになくてはならないものとなっている。
 

次ページ「サッカー選手として、時代の流れに乗っていきたいという気持ちがある」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事