【セルジオ越後の天国と地獄】ハリルジャパンのロシア行きは五分五分。手倉森ジャパンには“リオ”五輪に参加してほしいね

2016年04月15日 サッカーダイジェスト編集部

日本はアジアの“大関”。その自覚を持つべきだ。

昨年のアジアカップでPK戦の末に敗れたUAEが初戦の相手。当時の借りを返す意味でも、ホームで幸先の良いスタートを切りたい。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 少し前になるけど、ロシア・ワールドカップのアジア最終予選の組分けが決まったね。グループBに入った日本は、オーストラリア、サウジアラビア、UAE、イラク、タイと対戦することになった。
 
 このグループで上位2位に入って、無事ロシアに行けるか――。率直な印象は、五分五分といったところだ。2次予選と違って、どの試合も勝っても負けてもおかしくないし、引き分けも当然、あるだろう。
 
 なによりも大事なのは、9月1日に行なわれる初戦、ホームでのUAE戦での勝利だ。その次の試合はアウェーだけど、グループの中でFIFAランクが最も低いタイを相手に取りこぼさないこと。そして、第3戦でホームでのイラク戦を迎えるわけだけど、ここまでの3試合の相手はすべて、日本よりFIFAランクが下。この時点で「勝点9」を稼いでいれば、その後の戦いもだいぶ楽になるんじゃないかな。
 
 というのも、4戦目にオーストラリア(アウェー)、5戦目はサウジアラビア(ホーム)と厳しいゲームが続く。最初の山場と言っていいかもしれない。ここを乗り切るためにも、序盤の3試合で勢いに乗っておきたいところだろうね。
 
 日本は5大会連続でワールドカップに出場している。アジアの予選は勝って当たり前という風潮があるかもしれない。でも、昨年のアジアカップでは準々決勝でUAEに敗れるなど、もはや日本はアジアの"横綱"ではなく、"大関"に落ちているんだ。その自覚を持って、ひたむきに、チャレンジャーの気持ちで最終予選に挑むべき。盤石の強さで勝ち抜いた2次予選の結果は忘れるべきだね。
 
 アジアの出場枠は「4.5」もある。"大関"でも突破できるわけだけど、日本のサポーターはそれでいいの? アジアレベルでの苦戦を容認するようでは、世界に出たらとても戦えないよ。
 
 懸念材料は、これまでも指摘してきたように、主力の顔ぶれに大きな変化がないことだ。本田や岡崎、香川など、不動のメンバーが少なくない。ということは、相手も過去の対戦から十分に研究できるし、日本の欠点などを知り尽くしているはず。彼らが知らない"新しい武器"が、今のハリルジャパンにあるとは思えない。
 
 欧州組のコンディションも気になるところだ。監督の代わったミランの本田や、2部降格が濃厚のハノーファーの清武や山口、酒井宏樹、同じくフランクフルトの長谷部らは、今夏に移籍の可能性があるかもしれない。
 
 もしチームが変わるようなら、新天地でのプレーは少なからず精神的にも負担になるだろうし、そうしたなかで9月の初戦を迎えるわけだ。みんな安泰であればいいんだろうけど、一時期の川島のように所属クラブがないという事態だけは避けたいね。
 

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