【EURO2016開催地を巡る旅】第3回:ボルドーとヌボー・スタッド・ボルドー「月の港、ワイン街道、そして大西洋への夢の旅」

2016年04月14日 結城麻里

広大な松林とギリシャ宮殿のイメージを合体した新スタジアム。

ボルドーといえばワイン! しかし、他の魅力あるスポット、そしてフットボールをお忘れなく。それから、飲みすぎにはご注意! (C) REUTERS/AFLO

 過去2回はパリ、ランスと北部を巡ってきましたが、今回は南西に進路を取りましょう!
 
 パリから高速鉄道「TGV」に乗って3時間あまり、言わずと知れた世界一のワインの都、ボルドー市(人口約24 万3000人)に到着します。
 
「眠れる美女」の異名をとってきたこの街は、この10年で眩いばかりの「目覚めた美女」に変身! 本来の目的であるフットボールがやや霞んでしまうほど、魅力に溢れています。この機会に、"夢の旅"に出かけましょう。
 
――◇――◇――
 
 とはいえ、まずはフットボールです。
 
 この街のクラブ「ジロンダン・ド・ボルドー」は、何と言っても、あのジネディーヌ・ジダンがプロデビューを果たしたクラブ。現在はパリ・サンジェルマンを率いるロラン・ブランも、ここで監督デビューを果たしました。
 
 また、EURO84を制した際のフランス代表のMF、アラン・ジレスもボルドーのレジェンド。そして今回、彼はボルドーのEUROアンバサダーを務めています。
 
 このクラブが、思い出の詰まった旧スタジアムに別れを告げ、"新居"に引っ越したのは、2015年5月のこと。同月23日のこけら落とし(リーグアンのモンペリエ戦)には、200人の豪華OBが勢揃いし、ジダンのキックオフで新たな歴史の幕が切って下ろされました。
 
「ヌボー・スタッド・ボルドー」(別名「マトミュット・アトランティック」)と命名されたこのスタジアムの外観的特徴は、白い林のように見える、1000本もの繊細な柱。近隣にある広大な松林とギリシャ宮殿のイメージを合体したデザインだそうです。
 
 しかし、内部には柱を徹底的に排除した空間が広がり、スタンドからはピッチが隅々まで見渡せるようになっています。
 
 伝説のエメ・ジャケ監督が率いた80年代の黄金時代、ジダン、ビセンテ・リザラズ、クリストフ・デュガリーらがいた90年代、そしてブラン監督が率いた00年代後半の栄光の時と比べると、現在のクラブはまさに「眠れる美女」と揶揄されていますが、新スタジアムの美貌はなかなかものです。
 
 今夏の本大会では、ここで前回王者のスペインがクロアチアと対戦する他、準々決勝など計5試合の舞台になります。
 
 裕福な土地柄もあって、フットボール独特の熱狂や緊迫感には欠けますが、穏やかなファンとともに、きっと煌めくフットボールの夕べを体験できることでしょう。

次ページ350もの歴史文化財が並ぶ「月の港」と新名所「水鏡」は必見!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事