欧州1年目で10得点に到達した小川航基が突き詰める“日本代表FWの理想像”「2列目をいい状態で使える選手が求められている」【現地発】

2024年04月16日 中田徹

「“星”や“運”、“持っているもの”。僕にはそれがある」

ズウォレ戦で2発と気を吐いた小川(中央)。通算ゴール数を二桁に乗せてみせた。(C)Getty Images

 小川航基(NEC)は4月14日の対ズウォレ戦で2ゴールを叩き出し、オランダリーグ参戦1年目で二桁ゴールを記録した。
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 1点を負うNECは48分、左ウイングのロベルト・ゴンザレスのクロスを、小川がダイビングヘッドでループ気味のシュートを決め1-1とした。

「ヘディングしてから肩にも当たったような気がしました。どこにシュートが当たろうが、ああいうところでゴールの枠に入るというのが一番大事なところ。そこが、その人の持っている"星"だったり"運"だったり、"持っているもの"だったりする。僕にはそれがあると思います」

 このように1点目のダイビングヘッド弾を振り返ると、小川は自身のストライカーとしてのイメージを語った。

「『決定力には自信がある』と常々思うというか…。僕は最近、『そんなに多くチャンスを作り出せるストライカーではない』と感じている。自分にボールが全然入らない試合もたくさんある。足がとても速かったり、身体がもの凄く強かったりしたら、もっと自分でチャンスまで持っていけるだろうけれど、僕はそうではない。そこでどうやって得点数を伸ばすかと言ったら、やっぱり決定力。僕がシュートをボコボコ(的はずれなコースに)外す印象はたぶん、ないと思うんです。

 ちょっとさっき思ったんですよね。(頭で撃ったシュートが肩に当たり)フワーって入ったところでも、少ないチャンスをモノにしてきたという感じがある、と。これを良い面として捉えるのか、悪い面として捉えるのか、それは人それぞれ。自分も『どっちに捉えようかな!?』と思うところもあるんですが、良い面として捉えてから、もっとチャンスを作り出せる動きも必要になってくるのかな、と思います」

 小川は53分、PKをゴール中央に成功させ、2-1のリードにチームを導いた。

「PKをもらった瞬間、『今日は真ん中』と決めて蹴りました」

 ペナルティスポットに立つと、ズウォレの選手が「右に蹴るぞ、右だ!」と言いながら、小川に対して精神的な揺さぶりをかけてきたという。

「やっぱりPKも駆け引きも含めて実力だなと僕は思う。自分はFWなんでPKを蹴る機会が多く、『こいつは前節、こっちに蹴っているな』とか、今の時代、データが多く残ります。僕は今季、1本しかPKを蹴っていませんでした。『分析、されているな』と感じましたが、『今日は絶対、真ん中に蹴れば100%入る』と思ってました」

 GKの読みが外れ、小川のPKは柔らかな弧を描いてゴール中央に吸い込まれた。

「真ん中に蹴っただけですね。(チップキックを選択しなかったのは)昔、1回ふかしちゃったことあるんです」
 
 その小川の一言でピンと来た人も多いだろう。桐光学園のキャプテンとして迎えた高校サッカー選手権3回戦、青森山田との試合で小川は2ゴールを決めたものの、PKを上に外してしまって3-0にすることができず、2-2からのPK戦でも小川が失敗し負けてしまった――。

 あのゴール上に外したPKのことですか? と訊くと、小川は「はい」と言って続けた。

「チップで蹴るとミスキックになりやすい。あれぐらいフワッと蹴ることでミスキックを抑えることができます。なおかつGKが飛んだ後に(ボールがゴールラインを超す)、真ん中に強いPKを蹴る選手もいますが、強く蹴ったらGKが飛んでも足に当たってしまいます」
【動画】小川航基がズウォレ戦でダイビングヘッド&PKで2ゴール! 

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