ブンデス1部で初の女性コーチがU・ベルリンで“監督デビュー”。物議を醸す心無い投稿も...【現地発コラム】

2024年03月25日 中野吉之伴

26歳で現役を引退

U・ベルリンのアシスタントコーチを務めるマリア=ルイーゼ・エタ。(C)Getty Images

 1963年創設のブンデスリーガにおいて史上初めて女性指導者が"監督デビュー"を果たした。

 ウニオン・ベルリンのネナード・ビェリツァ監督が、第18節のバイエルン戦で退席処分となったため、19節のダルムシュタット戦ではアシスタントコーチのマリア=ルイーゼ・エタが代行を務めることになったのだ。

 試合中は同僚のダニエル・ユミッチがコーチングゾーンに立ったが、ドイツ語でのやり取りに不安を残すために、前日や試合当日の記者会見にはエタが対応することに。物腰柔らかに、だが論点を外さず毅然と明確な言葉で記者の質問に応対する姿でポジティブな印象を残している。

「監督はミスをして、そのことについて謝罪をしました。そしてクラブは適切なポジショニングを示しました。私たちのフォーカスはホームでのダルムシュタット戦。選手は試合に集中して全力のプレーを見せてくれると確信しています。ここ数試合で見せてくれていた素晴らしいパフォーマンスを、素晴らしいファンのバックアップとともに引き出したい」

「ここに立つことができてとてもうれしい。でもそのことが重要なのではないんです。私は私にできることを100パーセント取り組むだけ。クラブのため、チームのため、選手のため、ファンのため。こうやってメディアのフォーカスに立つのは初めてのことですが、でもサッカーの本質的なことに集中して取り組みたいと思います」

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 ビェルツァはバイエルン戦で転がってきたボールをめぐってドイツ代表FWレロイ・ザネと交錯すると、感情の爆発を止めることができず、右手でサネの顔を平手打ち。のちに3試合の出場停止処分となったが、クラブ首脳陣がそのまま監督解任の可能性を熟考するほど、激震をもたらしていた。クラブにとってかなりマイナスのイメージとなっていただけに、エタのそうした振る舞いには大きな意味があった。

 ドレスデン生まれのエタは13歳でトゥルビーネ・ポツダムへ移籍。2008年にはトップチームデビューを飾り、U-17欧州選手権メンバーに選出された。古豪ポツダムでは数多くのタイトルを獲得し、2010年には女子チャンピオンズリーグで優勝を果たすと、同年のU-20ワールドカップでも優勝に輝いている。ハンブルク、クロッペンブルク、ブレーメンを経て、26歳で現役引退を表明した。

 選手キャリアを終えた後、すぐに指導者として活動を開始したわけではなく、まずスポーツマネージメントで学位を所得。その後ブレーメンではU-15女子で監督を務めている。U-13~U-14の監督として契約を結び、19年にはドイツ女子世代別代表のアシスタントコーチとなった。
 

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