3戦連続ドローも開幕から無敗で上位進出。FC大阪は今季のJ3で台風の目になりそうだ

2024年03月24日 元川悦子

3節では金沢に6発圧勝

6節終了時で3勝3分と無敗のFC大阪。堅守速攻のスタイルを突き詰めれば、J2昇格も十分にあり得そうだ。(C)J.LEAGUE

 今季からJ2昇格プレーオフが採用され、上位6チームにJ2行きの可能性が生まれた2024年のJ3。門戸が広がったこともあり、多くのクラブのモチベーションが上がっている。

 そこで序盤、旋風を巻き起こしているのが、J3参戦2年目のFC大阪だ。

 志垣良監督(現山口)が指揮した昨季は11位でフィニッシュしたが、失点数の少なさはリーグ3位の38と堅守をベースとした戦いが光った。

 迎えた今季、昨季途中まで鹿児島ユナイテッドFCの指揮を執っていた大嶽直人監督が就任。前任者の土台を活かしつつ、「縦のスイッチを入れて、攻撃のアクションを数多く起こす」というテーマを設定し、昨季より進化したサッカーを目ざしているという。

 開幕3連勝のあと、2戦連続ドロー。5試合で無敗は1つの成果だろう。とりわけ、J2から降格してきたツェーゲン金沢に6-2で大勝した3月9日の第3節は見る者に驚きを与えた。迎えた23日の6節・松本山雅FC戦は3試合ぶりの白星を手にすべく、真っ向勝負に挑んだ。

 天気はあいにくの雨。本拠地・花園ラグビー場のピッチは水たまりができるほどの劣悪な状態。となれば、つなぐスタイルを志向する山雅よりも、堅守から縦への推進力を押し出すFC大阪の方に分があった。山雅のキャプテン菊井悠介も「この環境は相手の土俵だ」と厳しさを感じたという。
 
 実際、前半からFC大阪の方が確実にセカンドボールを拾って前線へ長いボールを蹴り出し、フィニッシュまで持ち込んでいた。今季初先発の大卒ルーキーFW西村真祈も「僕らはしっかりハードワークして、球際で負けない、90分走り切るっていうところをベースにやっているので、そこに関してはしっかりやれているのかなと思います」と自信をのぞかせた。

 前半のシュート数は山雅の1本に対して、FC大阪は8本。右SB美馬和也が放った24分の決定的なミドルが決まっていたら、リードを得て前半を終えていたはずだ。スコアレスで試合を折り返すことになったが、前半終了間際に山雅の佐相壱明が退場。後半のFC大阪は数的優位の状況で戦うことができた。

「1人少なくても同じサッカーができるようにしないといけないし、相手が少ない方がスペースがなくなったりするので、むしろ難しい。松本もカウンターがあるので、しっかりしたリスク管理を選手たちに指示しました」

 かつて日本代表で森保一監督とともにドーハの悲劇を経験している指揮官は、「一瞬の怖さ」を熟知している。だからこそ、細かい部分の意識付けにはより強くこだわっているのだろう。

 FC大阪は後半も相手を上回るシュートを放ち、積極的に攻め込んだ。しかし、荒れたピッチに誘発されたかのように警告9枚が飛び交い、彼らの方にも退場者が出る乱戦に。結局、0-0で終了。FC大阪は3試合連続スコアレスドローを余儀なくされた。

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