【日本代表|戦術検証】トップ下・清武を活かす新システム。マルチMFに指揮権を委ねたのは、ハリルの期待の表われか

2016年03月25日 清水英斗

攻撃の中心にいたのは、トップ下の清武である。

トップ下に抜擢され、期待に応えた清武。パスの出し手と受け手の両方をこなし、多くのチャンスに絡んだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ハリルホジッチ監督がアフガニスタン戦で試した、4-4-2のダイヤモンド型。中央に分厚く選手を配置できるシステムだ。キーポイントになるのは、清武弘嗣が務めたトップ下である。

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 岡崎慎司と金崎夢生の2トップが、相手の最終ラインに張り付いて釘付けにするため、相手CBは前に出て清武に寄せることができない。また、相手ボランチにとって、清武は背中側にいるので、動きを捉えづらい。つまり、"浮いたポジション"ということだ。
 
 この清武を生かせるか否かが、このシステムの成否を計るバロメーターとなる。
 
 前半はアフガニスタンの守備が中央に絞っており、相手2ボランチがバイタルエリアをしっかりと抑えたことで、清武への縦パスのコースがなかなか見出せなかった。
 
 では、相手ボランチをいかにバイタルエリアから引き剥がすか。そのために、この試合では3つの打開パターンが見られた。
 
 ひとつは、サイドハーフがマークを引き連れること。43分に決まった岡崎の得点シーンでは、サイドハーフの柏木陽介が相手ボランチの前でボールをさばき、そのまま走り抜けることで、ボランチのひとりを引き連れた。
 
 ふたつ目は、アンカーの長谷部誠が引きつけること。同シーンで柏木がさばいた後、右SBの酒井宏樹を経由してパスを受けた長谷部は、相手の1トップとトップ下のマークを避けて前へ進み、相手ボランチの前でボールを持った。そこへ、もうひとりのボランチが寄せてくる。
 
 これで、もうバイタルエリアを守るMFはいない。長谷部は寄せ切られる前に、素早く清武へ縦パスを入れる。そして清武は鋭いターンからフリーで持ち運び、岡崎のゴールをアシストした。
 
 そして、3つ目のパターンは、2トップが下りてきて注意を引きつけること。58分の清武自身の得点シーンでは、岡崎が下りてボランチ1枚を引き連れ、さらに長谷部がフリーでボールを持ち、もうひとりのボランチの注意を引いた。バイタルエリアのスペースを空けると、ここでは清武ではなく、金崎へ縦パスを送り、清武は3人目の動きで飛び出す側に。金崎のフリックパスから、清武がゴールを挙げた。
 
 いずれも攻撃の中心にいたのは、トップ下の清武である。
 

次ページ中盤ダイヤの4-4-2は、清武や金崎の長所が素直に引き出される仕組みだった。

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