岡崎を変えた「チームの勝利」から「俺のゴール」への意識改革

2016年03月23日 田嶋コウスケ

「以前は、チームのことを考え過ぎて疲れていた」(岡崎)

クリスタル・パレス戦ではゴールはなかったものの、屈強なDF陣にも当たり負けせず相手ゴールに迫るなど、プレーの節々で成長を感じさせた。 (C) Getty Images

 レスターが、また一歩タイトルに近づいた。
 
 3月19日(現地時間)に行なわれたプレミアリーグ第31節のクリスタル・パレス戦で1-0の勝利を飾り、2位トッテナムと勝点5差での首位をキープしたのだ。
 
 試合後、岡崎慎司は「優勝への重圧? チームメートが普段通り過ぎて、ホント、プレッシャーをあまり感じない奴らなのかなと思っています」と笑っていたが、残り試合は7となり、ついに頂点が見えてきた。
 
 今週、リーグはいったん中断し、国際マッチウィークを迎える。岡崎にとって、約4か月ぶりの日本代表戦である。キャプテンを務めながらPKを失敗した昨年11月のカンボジア戦(ワールドカップ2次予選)以来の代表戦となるが、振り返ってみると、当時の岡崎はレスターで苦戦を強いられていた。
 
 10月24日の10節・クリスタル・パレス戦から4試合連続でベンチスタート。13節のニューカッスル戦では得点を挙げたが、これも途中出場であり、15節のスウォンジー戦では出番すらなかった。
 
「ベンチに行ったり、ベンチのまま試合に出なかったりと、色々な経験をした」と岡崎は振り返る。当時の彼の立ち位置は、「準レギュラー」だったのだ。
 
 このままではいけない──と危機感を覚えたのだろう。状況を打破するため、岡崎はプレーの比重を「献身的なプレー」から、「ゴールを奪うこと」に傾けるという"意識改革"を年末に行ない、ここから上昇気流に乗った。
 
 この心境の変化について、彼は以下のように述懐している。
 
――ブラジルW杯で疲れて、アジアカップで負けて……。なんか「失った」というか、「次の世代へ」みたいな気持ちが出ていた自分が、プレミアにいる選手のすごいモノを見て、「俺もやれるやん」って気持ちになった。
 
 でも、チームでは自分にパスが回ってこない。だから、(チームメートに)怒ったりもした。
 
 結果を出さなければ、プレミアでは上に上がれない。同時に、結果さえ出せば、という気持ちもあった。だから、またサッカー選手として燃えてきた感じ。
 
 以前は、チームのことを考え過ぎて疲れていた。「どうやったら勝てるのか?」みたいな。でも、どうやったら自分が上にいけるのか、どうやったら活躍できるのか。チームの勝利の前に、(自分が)チームを勝ちに持っていけるかどうか、ということが大事だって思うようになった。
 
 だから今、「チームが勝つために」とは、あまり考えてない。それよりも、俺が活躍できるかどうか。「俺が点を取りたい」という気持ちが強い。そんな自分の後ろ姿を見て、若い奴がついて来てくれればいいと思う。――

次ページゴールへの拘りが強いからこそ指揮官の言葉が心に引っ掛かる。

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