壮大な“風間改革”が進行中の南葛SC。関東リーグ1部のクラブとは思えない活力と熱はどう生まれているのか【スペシャルインタビュー前編】

2024年02月20日 本田健介(サッカーダイジェスト)

40人の大所帯から伝わる“本気度”

新たなチャレンジを楽しんでいる風間監督。グラウンドも活気に満ちていた。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 2024年シーズンから南葛SCの監督およびテクニカルダイレクターに就任した風間八宏氏。数々の語録、斬新なアイデアが注目され、川崎や名古屋でも人々を魅力するサッカーを展開し、C大阪のアカデミー技術委員長も務める風間氏の、新たな挑戦は非常に興味深い。その様子に迫ったスペシャルインタビューの前編をお届けする。

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 寒風が吹きすさぶ1月某日。

 それでもグラウンドには熱量が詰まっていた。

 東京都葛飾区にある水元総合スポーツセンター。トレーニングを行なっていたのは『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一氏がクラブのオーナー兼代表を務め、「葛飾からJリーグへ!」をテーマにしている関東リーグ1部所属の南葛SCだ。

 その中心には2024年シーズンより監督およびテクニカルダイレクターに就任した風間八宏氏の姿がある。トップチームの選手数は40人と大所帯。そのため20人ずつを2グループに分けてトレーニングを行なう変則的な形を取っていたが、風間監督の下で、"止める・蹴る"など技術力を意識した選手たちの姿が、グラウンドには広がっていた。

「選手たちが、だいぶ望み出してくれている。自分自身も子どもたち、大学、そしてその先のトップチームを指導してきたけど、アカデミーを含めた全体を見ることができるこのチームは、これまでの経験の融合となる。もの凄く可能性があると感じているし、ベテランという見方は普段からしないけど、キャリアを重ねてきた選手たちも、もう一回やりたいと言ってくれている。そういう意味ではすごく良いチームになっているなと」

 年明けから指導をスタートさせた風間監督も目を細める。

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 チームには高卒や大卒ら若い選手からワールドカップ経験者の稲本潤一や今野泰幸らまで幅広い世代が所属。風間監督は一人ひとりと個人面談を行ない、ベテランを含む全員の強い決意を確認した。

 そのなかで今野はミニゲームなどでも積極的な姿勢を披露。今季は"選手兼コーチ"である稲本に関しても風間監督は「まず選手として挑戦してもらって、監督の目から見て良ければ起用するし、そろそろ違うタイミングかなと思ったら別のアドバイスをする。イナとの関係性は川崎時代と変わってなくて、彼はプロのなかのプロだから」と話す。

 彼らに代表されるように、チームから伝わってくるのは"本気度"である。風間監督も強く頷く。

「自分は上手い選手を求めているわけではない。逆に言うと、誰でもいくらでも上手くなることができる。そこには上限がない。だから一番大事なのは"戦える選手"かどうか。いかに戦う技術を増やしていくか、そこが一番大事。

 言い換えるなら本気の選手だよね。その意味で南葛には本気の選手が集まってきている。本来、チームには『教えてもらおう』ではなく、『自分が上手くなりたい』という想いが必要なわけで、そういう選手たちが集まってくれた。だから毎日変化が起こっていて、昨日は良くなかったと思っていた選手が、翌日にはガラッと変わったりしている。驚きの連続だよね」

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