【ブンデス現地コラム】原口元気も大変身! CL出場も見えてきたヘルタが大躍進を遂げたわけ

2016年03月18日 中野吉之伴

昨季はギリギリで1部残留を決めたチームが、ほとんど陣容を変えずに快進撃!

快進撃を続けるヘルタ・ベルリンのなかで、自身も好調を維持する原口。シャルケ戦では、イビセビッチのゴールをお膳立てした。(C) Getty Images

 つい先日、日本代表に選出されたばかりの原口元気が所属するヘルタ・ベルリンが、快進撃を続けている。
 
 今年に入ってからはなかなか勝てずにファンをやきもきさせていたが、チャンピオンズリーグ(CL)出場権を争う直接対決となったシャルケとの決戦では、ホームで2-0と快勝。26節終了時で4位・ボルシアMGと勝点3差の3位を死守した。
 
 このシャルケ戦では結果だけではなく、内容でも相手を圧倒したことから、俄然CL出場の可能性が現実味を帯びてきている。
 
 それにしても、昨季はギリギリで1部残留を決めたチームから陣容は大きく変わっていないはずなのに、この好成績には驚かされるばかりだ。昨季途中にヨス・ルフカイからチームを引き継いだパル・ダルダイが、最初に手掛けなければならなかったのは組織的な守備を植え付けることだった。闘争心を前面に押し出したアグレッシブさを保ちながら、全選手の主体的な守備参加を辛抱強く求め続けた。
 
 こうして築かれた守備力に加え、今季は攻撃にさまざまなバリエーションがあるのが、好調の要因だろう。最終ラインからしっかりとボールをつなぎ、テンポよくパスを展開させるのがチームとしての基本的な攻め方だ。
 
 レアル・マドリーが視察に乗り出していると噂のウラジミール・ダリダが巧みなゲームメイクで中盤をコントロールし、売り出し中のミシェル・バイサーやサロモン・カルーがドリブルでアクセントを加え、FWの位置ではポストプレーが得意なイビセビッチが起点を作り出す。セットプレーに強いのも特徴的。ゴール前では長身CBのブロークスやシュタルクが常に危険な香りを漂わせる。
 
 そんなチームで現在、欠かせない存在になっているのが原口だ。
 
 シーズンを通しての安定感は今季ブンデスリーガでプレーしている日本人選手で一番と言っていいだろう。昨季、ヘルタに来たばかりの頃は「守備で自陣深くまで戻った後に長い距離を駆け上がっていかなきゃいけないし、そのあとまたすぐに戻らないといけない」と走行距離の長さを嘆いていたものだが、今季はダルダイの指導によって大きく成長した姿を見せているのだ。
 

次ページ生粋のドリブラーが「長い距離を走り続けることは自分の武器」と言い切るほどに。

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