十分に回避できたイラン戦のPK献上。だがそれ以上に問題だったのは...三笘は孤立、久保&前田を交代させた対価は得られなかった【アジア杯】

2024年02月04日 河治良幸

相棒の冨安にも責任の一端はある

終了間際にPKを献上。これを決められ、日本は敗れた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

[アジアカップ準々決勝]日本 1-2 イラン/2月3日/エデュケーション・シティ・スタジアム

 最終的に勝敗を分けたのは、大きなミスだった。

 ロングパスをワイドで折り返されたボールの処理を巡り、センターバックの板倉滉と冨安健洋が丸かぶりしてしまった。結果、板倉はヘッドを当て損ね、冨安も板倉のブラインドで落ちてきたボールを空振り。

 そしてこぼれ球を拾いに行ったカナーニを板倉が倒してしまい、痛恨のPKを与える形となった。

 後半アディショナルタイムも4分になろうかという時間での出来事だった。直接の要因は板倉の方が重い。ただ、イランの選手が競りかけてきていない状況で、どちらがクリアするかをはっきりしていれば良かったシーンだ。

 その意味では相棒の冨安にも責任の一端はある。さらに言えば、カナーニがマイボールにしてもGKの鈴木彩艶が目の前に構えていたし、伊藤洋輝もカバーに来ていた。

 イランの気迫が、という声は多いが、冷静に対応できていれば与えなくてもいいPKだった。板倉は冨安のコーチングについて「もちろん声は聞こえましたけど、後ろの状況を自分で把握できていなかったので。ボールに行くっていう選択をしたなかで、触ることができなかった。ボールしか見えてなかったので、後ろから来た相手は見えてなかった」と振り返るが、必然性の高いミスであることは否めない。
 
 ここで倒されたのがセンターバックのカナーニだったのは、ロングスローのセカンドボールが起点になっていたからだ。ジャハンバフシュによるロングスローに関しては日本も十分に対策していたと見られるし、インドネシア戦のようなことにはならなかった。しかし、こういう時間帯のセットプレーで危険なのは往々にしてセカンドボールだ。

 このシーンでは、伊藤が前方にクリアしたボールを拾ったレザイアンに誰もプレッシャーをかけに行かなかった。レザイアンが余裕を持って左ワイドに蹴ったボールを巡り、毎熊晟矢がモヘビに競り負けてしまったが、イランは同サイドにモヘビとエザトラヒがおり、2対1の状況を作っていた。

 ただし、ゴール前で日本は板倉、冨安、伊藤、その手前に遠藤航がおり、イランはFWのアズムンとカナーニ。ボックスの手前にゴッドスはいたが、直接関与はしていなかった。

 セカンドボールに対して誰もプレッシャーに行かなかったこと、サイドエリアで毎熊を数的不利にしてしまったところは問題だが、それでも慌てることなく対処できれば事なきを得ることはできた。

【PHOTO】日本代表のイラン戦出場15選手&監督の採点・寸評。後半は何もできずに敗戦。及第点は2人のみの低評価

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