ミラン番記者の現地発・本田圭佑「全ては濃い霧のなか……ミランと本田に漂う不安」

2016年03月16日 マルコ・パソット

最後のスプリントをかけるミランのなかで気がかりなのは本田。

踏ん張りどころで格下相手に続けて勝点を取りこぼしたミラン。自信なさげで不安定だった以前の状態に逆戻りしてしまったのか……。 (C) Alberto LINGRIA

 暗闇は続き、多くの疑問が濃い霧のように立ち込める。
 
 ミランの話をしていても、本田圭佑の話をしていても、結局はこの言葉に帰ってくる。
 
 ミランに何が起こっているのか?――
 
 それにしても今シーズン、いやここ数シーズン、果たして何度、この疑問を繰り返してきたことだろう。そして毎回、事態は混乱していて、これという明快な答えを出すのは難しい。
 
 混乱といえば、ここ最近の2試合などはまさにそうだ。先週末に戦ったキエーボは現在、中位(10位)にいるチームで、決して難しい相手ではなかった。しかし、ミランは最初の30分間、相手に思うようなプレーを許し続けた。これは前節のサッスオーロ戦と同じだ。
 
【試合レポート】キエーボ 0-ミラン
 
 アウェーマッチとはいえ、格下相手の連戦でたった勝点1しか挙げられなかったことがオーナーのシルビオ・ベルルスコーニにまた胃痛を起こさせ、シニシャ・ミハイロビッチ監督をまた、嵐のなかに放り込んだ。
 
 ミハイロビッチが舵を取る船は今また、大波に揉まれ、危険な状態に陥っている。そして同時に"乗組員"たち――特に彼に重用されている者たちも、指揮官とともに翻弄される羽目になった。
 
 本田もそのひとりだ。現在、彼はセリエAとコッパ・イタリアの計16試合で連続してスタメン起用されているが、今後もシーズン終了まで(ミランの残り試合はリーグ9節分とコッパ・イタリア決勝の計10試合)、レギュラーであり続けることはほぼ間違いない。
 
 その理由は、非常に単純である。もちろん、本田がどんな練習でも力を出し惜しみせず、監督の信頼を勝ち得ているのは確かだが、何より、他に代わりとなる選手がいないからだ。ポジションにおいても、攻守両面の仕事をこなせるという点でも……。
 
 ほとんど使ってもらえず、ベンチに根を生やしそうになっていた昨年の秋頃に比べれば、確かに事態はずっと好転しているだろう。しかし、これで「めでたしめでたし」となるのか? 全ての問題は解決したと言えるのか?
 
 というのも今後、ミランは来シーズンに欧州の舞台で戦う権利を手に入れるため、最後のスプリントをかけていくことになるが、そこで本田のフィジカルが限界を迎えることになるのではないかという不安が消えないのである。

次ページ同僚批判、厳しい欧州への道、進まぬ株式譲渡…光は見えない。

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