【川崎】大久保嘉人を蘇らせた”風間再生工場”で、怪童・森本貴幸は復活できるのか?

2016年03月12日 江藤高志

ゴール前で「シュートだけだった」選択肢にパスが加わりつつある。

ホーム開幕の湘南戦で貴重な同点弾。森本(9番)はトレーニングや試合をこなすごとに、チームにフィットしてきている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 3月5日に行なわれたJ1・2節の湘南戦で、森本貴幸が移籍後初ゴールを決めた。後半アディショナルタイムに決まったこのゴールは、敗色濃厚のチームに勝点1を引き寄せ、さらには逆転ゴールまで生み出しそうな勢いをもたらした。

 敵地で昨季王者の広島を下した開幕戦でも、中野嘉大からのクロスに対しニアに飛び込むことで、小林悠の決勝ゴールを間接的にアシスト。深掘りすれば勝点4に関わっているとも言える。まさにストライカー然とした働きぶりだ。

 その森本を取材して特に感じたのが、本能のままにプレーしているということ。ゴールという結果に猪突猛進する姿勢自体は悪いものではない。森本はストライカーなのだから、好ましい姿勢でもある。

 ただし森本の場合、そればかりになって視野が狭まり、過剰な力が入っているように見えた。また特長のひとつだと言われている裏に抜け出す動きを狙いすぎ、沖縄での練習試合ではオフサイドを連発していた。

 そんな森本が変わりつつある。ゴール前で「シュートだけだった」選択肢にパスが加わりつつあるという。

 2013年、2014年シーズンに千葉でともにプレーした大塚翔平は、川崎と千葉のサッカーの違いがベースにあるのではないかと話しつつ、「川崎のサッカーを吸収しようという感じはします」。さらに、「ボールを足下で引き出して、そこで落としてまた動き出すという動きは増えているように思います」と話す。

 また、動き出した後のプレーは千葉時代からあまり変わっていないとも言うが、「サテライトの仙台戦の(大塚が決めた)1点目のシーンなどは、(森本が)シュートを打つかなと思ってたらパスが来てぼくが一番びっくりしました」と驚いていた。
 

次ページ風間監督は「森本は点を取る形を持っている」と評価。

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