現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「香川はこの夏の移籍を考えているのではないか?」

2016年03月10日 マルクス・バーク

「ドルトムントには今、香川がプレーできるポジションがない」

天王山対決らしく、ハイレベルな戦いが90分を通して展開されたバイエルン戦。そこでベンチ外という事実が、香川の現状の厳しさを際立たせた。 (C) Getty Images

 サッカーでは、些細なことで状況が変わることは頻繁にあり、それが瞬間的に起こることも多い。メディアがその報道によって、物事を劇的に変えてしまう危険も、常につきまとう。
 
 それでも私は、少し挑発的だとはいえ、こう問いかけたい。
 
 香川真司は、今シーズンが終わってもドルトムントに残るのか?
 
 先週末、バイエルン戦後の記者会見で、香川をメンバー入りさせなかった理由を聞かれた監督のトーマス・トゥヘルは、戦術的な理由だけを挙げた。「10番の選手は必要でなかった」と。

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 指揮官のこの発言を、私は信じた。それが嘘だと証明することが難しかったからだ。
 
 しかし、香川が2月6日に行なわれたヘルタ・ベルリン戦でもベンチ外だったこと、そしてそれ以降の試合における彼のパフォーマンスが低調だったことを考えると、少し疑問が湧いてきた。
 
 また、「10番が必要なかった」(トゥヘル監督)バイエルン戦で、ドルトムントの選手たちはセンターを使って攻撃を仕掛けていた。とりわけマルコ・ロイスは、10番のスペースで動くことが多かった。
 
 こうなってくると、トゥヘルの発言は少しばかり奇妙な感じがする……。
 
 ここで、私の本当に個人的な想像を言わせていただくと、香川はこの夏に移籍することを考えているのではないだろうか。

 このことについて、私は他の記者たちにも意見を聞いてみた。
 
「香川がとても繊細な性格の持ち主なのは、よく知られたことだ。私の推測では、彼は前半戦で良いパフォーマンスを見せたにもかかわらず、年が明けてからは急にメンバーから外されたりしたことで、狼狽したのかもしれない。それで、練習でも試合でも調子を落としたというわけだ」
 
 こう語るのは、『ルール・ナハリヒテン』紙の番記者であるマティアス・ダーシュ氏だ。彼は香川の今後について、厳しい展望を持っている。
 
「前半戦、香川はインサイドハーフとしてプレーしていたが、今ではこのポジションを担うのは守備的な選手(マティアス・ギンター、エリック・ドゥルム、ヌリ・シャヒンら)である。少し攻撃力が低下したとはいえ、これによってドルトムントのバランスは良くなった」
 
「忘れてならないのは、香川がクラシカルな10番だということだ。このタイプの選手が活きるポジションは、トゥヘルのサッカーでは見当たらない。ドルトムントには今、香川がプレーできるポジションがないのだ。それは、トゥヘルもバイエルン戦の後に認めていた」

次ページ良いパフォーマンスを見せさえすれば、メンバーに戻れるが…。

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