なぜ京都産業大は躍進できたのか。インカレ準優勝で示した価値「関西の大学は成長できる場所」

2023年12月31日 安藤隆人

両サイドから多彩なアタック、エースも自由に

インカレ決勝では悔しい敗戦。だが京産大のこの1年間の快進撃は素晴らしかった。写真:安藤隆人

 今年の関西学生サッカーリーグ1部で、創部51年目にして初優勝を果たした実力は本物だった。

 関西王者として2021年度以来、2大会ぶりのインカレに出場した京都産業大学は、勢いそのままに初戦で東海学園大を下すと、福岡大、流通経済大と強豪をなぎ倒して、初の決勝まで駒を進めた。

 決勝では明治大に0-2で敗れ、初の全国優勝とはならなかったが、彼らがこの1年間で見せた快進撃は素晴らしいものがあった。

 なぜ、京産大がここまでの結果を残すことができたのか。まずは選手の進路選択で、ガンバ大阪ユースなどから能力のある選手が入ってくるようになった。その代表格がエース食野壮磨(東京ヴェルディ内定)と福井和樹(SC相模原内定)だ。

「関西学院大とか関西大は選手層も厚くて、1年目から試合に出ることは難しいかもしれないと思っていました。だからこそ京産大は1年から出るチャンスがあると思いましたし、ユースの先輩がたくさんいて、同期が僕より先に決まっていたので、今の結果を見るのではなく、自分が入ってからの2年後、3年後の結果を見据えたら、ここから絶対に良くなると思ってここにきました」と食野が口にしたように、数年後を見据えての決断は大輪を咲かせた。
 
 質の高い選手が集まってきたことに加え、OBで元Jリーガーである吉川拓也監督が今年から就任。吉川監督にとって恩師であり、チームを27年間率いてきた古井裕之総監督とタッグを組み、新たなアプローチで強化をし始めたことで、チームはメキメキと力をつけてきた。

 左の夏川大和(FC大阪内定)、右の福井という破壊力抜群のドリブラーを縦への突破だけではなく、積極的に中央のスペースを狙わせて、彼らのフィニッシュ能力を引き出した。

 それに加え、大串昇平と西矢慎平(カターレ富山内定)の両サイドバックも高い位置に張り出したり、インナーラップやカットインを仕掛けたりと、サイドハーフに連動していくことで、相手にとって的を絞りづらい攻撃を展開。

 両サイドからの多彩なアタックが生まれたことで、絶対的なエースの食野の能力がより引き出された。食野は中盤のフリーマン的な役割として自由に動けるようになり、豊富な運動量と高い状況判断の能力を駆使して、セカンドボールの回収や、攻撃に切り替わった時のパスのサーバー、ゲームメイク、フィニッシャーと多岐にわたるプレーでチームの心臓となった。

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