【岩本輝雄】シャフタールの戦いぶりを堪能も、複雑な心境に...チャリティマッチで改めて考えさせられたこと

2023年12月19日 岩本輝雄

リーグ戦は無観客。日常はまだ戻っていない

アビスパ対シャフタールのチャリティマッチが国立で開催。こうした取り組みは今後も続けていってほしいね。(C)SOCCER DIGEST

 アビスパとシャフタールのチャリティマッチが開催。舞台は国立。試合は2-2でドロー決着だった。

 ウクライナの被災者を支援するための試合で、売上から経費を引いた利益の全額が、復興支援のために寄付される。

 試合は見応えがあったよ。もちろん、何かがかかっているわけでもないから、通常の公式戦とは趣が違っていた。チャリティマッチだから、それは当然なんだけど、シャフタールはCLにも出場するほどのクラブだし、一つひとつのプレーはレベルが高かった。

 4-3-3のシステムで、選手同士の距離感が良くて、パス回しもスムーズ。テンポも良いし、スピーディ。欧州のスタンダードを十分に感じられた。

 スタンドにはシャフタールを応援するファン・サポーターの姿もあった。クラブ、そしてウクライナの国旗がはためいている。
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 今回のチャリティマッチのような取り組みは、本当に素晴らしいことだと思う。誰かが誰かのために。世界的な人気を誇るサッカーというスポーツだからこそ、影響力は計り知れないと思う。

 それを考えさせられたのと同時に、こうして純粋にサッカー観戦を楽しめていることに、複雑な気分にもなった。戦禍が続くウクライナで、リーグ戦は無観客。日常はまだ戻っていない。

 僕も選手だったから、分かる。ファン・サポーターの前でプレーできることが、どれだけ幸せか。引退した今は、こうしてスタジアムに足を運んで大好きなサッカーを楽しんでいる。でも、それができない国もある。

 いつもはこんなことはないんだけど、「平和」の二文字が頭に浮かんで、なかなか離れなかった。戦争なんて早く終わってほしい。自分もサッカー人として、何かできないか。そんなふうに少しでも考える人が1人でも増えてくれれば。それもこのチャリティマッチの意義なんじゃないかと思った。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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