J1で5位でも“スタイルが見えない”とばっさり。岩政大樹が目ざしたものとは?「積み上げていくしかない。諦めずにトライし続けた」

2023年12月05日 元川悦子

12月4日に退任が正式決定

愛すべきクラブを去る岩政監督。「鹿島のこと、選手たちのことを考え続けた日々」に終わりを告げた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「鹿島は日本で1番、チャレンジャーとして誕生したクラブです。これからもずっと、鹿島がそうあり続けることを願っています。また来年、この選手たちとともに戦ってください。今年撒いた種を花開かせるシーズンになると思います」

 12月3日の2023年J1最終節で、最下位の横浜FCを2-1で下し、5位でフィニッシュした鹿島アントラーズ。岩政大樹監督は、最終戦セレモニーの挨拶で目を真っ赤にしながら"惜別"の言葉を口にした。

 直後の記者会見でも「2年間、自分なりに全てやり切ったと思ってますし、ここに僕が来たのは、監督をやりに来たわけじゃなくて、10年間の恩返しをしに来た。それはもう自分がやり切った。ここまでのステージはいったん終わりかなと思っています」と発言。改めて退任を示唆したのだ。

 その後、報道陣の取材に応じた吉岡宗重フットボールダイレクターは「我々はタイトルを狙っているクラブ。ACLにも毎年出ないといけないのに、去年と同じような順位で終わったのは、やはり足りないところが多かった。

 スタイル確立には岩政監督が取り組んでくれていたが、ファン・サポーターが見て『これ』と分かるものが出せなければスタイルとは言えない。そういう部分ではまだまだ確立ができなかった」と厳しい評価を下した。

「スタイル構築には長い時間がかかる。時間をかけて積み重ねていくしかない」と口癖のように言っていた岩政監督は、来季も続投し、チームの完成度を引き上げたいと考えていたはずだった。けれども12月4日に退任が正式決定。志半ばにしてクラブを去ることになった。

 2022年8月からレネ・ヴァイラー監督の後を引き継ぎ、1年半指揮を執った若きレジェンド指揮官が目ざしたものは一体、何だったのか。それを今一度、検証してみる。

――◆――◆――
 
 昨年8月の就任会見。岩政監督はこのように抱負を語っていた。

「過去10年のJリーグ優勝チームの傾向を見ると、サンフレッチェ広島はミハイロ・ペトロヴィッチ監督から森保一監督、川崎フロンターレは風間八宏監督から鬼木達監督、横浜F・マリノスはアンジェ・ポステコグルー監督からケヴィン・マスカット監督と、哲学に合った監督を連れてきてスタイルを作り、それを継承しながら勝ってきた。鹿島もベースとなるサッカーがどういうものかをしっかりと表現できるようにならないといけないと思います」

 とはいえ、ベースとなるスタイルを明確に表現したうえで勝つというのは、難易度の高いテーマ。岩政監督自身も「今の時点でマリノスや川崎に対して、ボールゲームで上回ることは難しい」と認めていた。

 だからこそ、「スペースや空間・時間で上回ることが必要。どうすれば上回れるのかを選手たちに分かってもらいながら、プレーさせることが僕の仕事」と強調。中長期的にボールを動かす力を向上させつつ、「隙を突く」「際で勝つ」といった鹿島の伝統をピッチ上で表現すべく、自身のアプローチをスタートさせた。

【PHOTO】鹿島アントラーズの歴史を彩った名手たちと歴代ユニホームを厳選ショットで一挙紹介!

次ページ1年目は2勝6分2敗

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事