【ブンデス現地コラム】いまだ最下位に沈むハノーファー。清武と山口の中盤を軸に、ブレーメンとの“裏天王山”をモノにできるか?

2016年03月04日 中野吉之伴

新機軸の4-2-2-2は機能。ショートパス主体の崩しが可能に。

ヴォルフブルク戦で0-4の大敗を喫したハノーファー。1部残留に向けて、厳しい戦いが続いている。(C)Getty Images

 サッカーというスポーツはときに不条理だ。主導権を握られながらもワンチャンスを活かして勝利をもぎ取ることもあれば、圧倒的に攻め込んでいても一瞬の隙を突かれて敗れることもある。その"明と暗"を直近の2試合で味わったのが、ハノーファーだ。

 2月27日のシュツットガルト(ブンデスリーガ23節)で2-1で勝利したハノーファーは15節から続いていた連敗を「8」で止め、1部残留に向けて何とか望みをつないだ。2得点を挙げた主将のDFクリスティアン・シュルツは「やっとうまくいった。僕らはまだ生きているよ!」と喜びを爆発させたが、それはそうだろう。勝てないばかりか、このシュツットガルト戦まで4試合連続ノーゴールと、ポジティブな要素はほぼ皆無だったのだから。

 昨年12月からチームを率いるトーマス・シャーフ監督は、このシュツットガルト戦で賭けに出た。前節のアウクスブルク戦からスタメンを6人入れ替え、システムも4-1-4-1から4-2-2-2に変更した。4バックの前に山口蛍とアンドレ・ホフマンのダブルボランチを並べ、その前方には先発に復帰した清武弘嗣と1月に加入したイベル・フォッスムという2人のトップ下を配置。FWには走力に長けたケナン・カラマンとマリウス・ヴォルフを起用した。

 システム変更の効果はあった。これまで孤立しがちだった清武は、高い技術を誇るフォッスムというパートナーを得たことで、明らかにプレーの選択肢が増えている。また、タイミングよくパスを供給する山口の存在も大きく、清武を中心としたショートパス主体の崩しが可能になった。

 結果的に敵陣深くまで攻め込むシーンが多くなり、好位置でのセットプレーの機会も増加。シュツットガルト戦での2ゴール――いずれも清武のFKにシュルツが合せた――は、決して偶然生まれたものではなかった。
 

次ページ課題の守備がどこまで機能するかがポイントに。

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