敗戦後はぼう然...アジアMVP名和田我空に突きつけられた現実。痛感した世界との差「本当に、この経験を無駄にしたくない」【U-17W杯】

2023年11月22日 松尾祐希

「本当にもう終わりかという気持ち」

スペイン戦で見事なミドルを決めた名和田。勝利には導けなかったが、実力の一端は示した。写真:佐藤博之

 大会通算5ゴール。韓国との決勝では鮮やか直接FKを決めてヒーローとなった。U-17アジアカップで得点王&MVPに輝き、評価を高めて、注目度は右肩上がり。ワールドカップでの活躍を誰もが待ち望んでいた。しかし――。FW名和田我空(神村学園)にとって、世界の舞台でのパフォーマンスは納得いくものではなかった。

 インドネシアで開催されているU-17ワールドカップ。日本の全4試合のうち、名和田に与えられたプレータイムは合計138分。2試合で先発したが、1ゴールしか挙げられなかった。

 11月21日に行なわれたラウンド16のスペイン戦。1-2で敗れた後、ミックスゾーンに現われた名和田はぼう然とした表情で言葉を紡いだ。

「本当にもう終わりかという気持ち」

 あふれてくる感情を噛み締めるように話した名和田にとって、今大会はアジアと世界の差を痛感させられる場となった。

 14日のグループステージ第1節・ポーランド戦(1-0)。名和田は本職のFWではなく、右サイドハーフで起用された。佐藤龍之介がコンディション不良でベンチスタートになり、白羽の矢が立ったのだが、70分に途中交代した。

 守備のタスクに追われ、アイデアに富んだプレーや右足から繰り出す高精度のシュートは影を潜めてしまう。そして、何より強度が足りず、相手のパワーに押されてほとんど何もさせてもらえなかった。
 
 初戦のパフォーマンスでは森山佳郎監督を納得させられず、2、3戦目はベンチスタート。いずれの試合でも最後まで出番は巡って来ず、躍動するチームを外から眺めるしかなかった。

「フィジカルがある戦いを考えた時に、やっぱり選択肢になっていかないといけない」

 3戦目の後に森山監督が名和田の起用についてそう言及したように、強豪国に対抗できるだけのパワーがなかったのは事実。ただ、そうした指摘も期待をしているからでもある。

「1戦目は自分の得意じゃないところでプレーをして、守備に追われて、2、3戦目は出してもらえず、相当悔しい想いをして、このゲームにかける思いは人一倍強かったと思う」

 森山監督の想いに応えるべく、名和田は腐らずに来るべき時に備えて準備を進めた。

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