「もうちょい中に」「なるべく裏を」“ミトマ対策”に立ち向かう三笘薫。「昨季ほどではない」と指摘した精通記者が拍手を送ったプレー【現地発】

2023年11月20日 中野吉之伴

「昨シーズンのミトマは文句なしにすごかった」

アヤックス戦でも厳しいマークを受けた三笘。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 スタジアムに取材に行くといろいな人に会う。知見の仲間もいれば、よく顔を合わせるが、ほとんど話したことがない人もいる。

 アムステルダムのヨハン・クライフアレーナで行われたヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第4節のアヤックス対ブライトン戦でのことだ。

 階段を上ってスタジアム上部にある記者席についた僕は、一息ついた後そこからの眺めを堪能していた。試合開始を前にファンがざわざわしている。いい雰囲気だ。肩をトントンとされたので左を見たら、隣のジャーナリストに「パソコンに向かう自分の写真を撮ってほしい」とお願いされた。快く応じて写真を撮ったあと少し話をしたら、ロンドン在住ながらドイツ語を流ちょうに話すイタリア人だった。ドイツ語は学生時代にルクセンブルクで身につけたのだとか。いろんな人がいるものだ。

 そんな彼、アレッサンドロ記者が三笘薫について語りだしてきた。ブライトンの試合を数多く見ているという。

「ミトマは素晴らしい選手だよ。もちろんだ。昨シーズンのミトマは文句なしにすごかった。誰に聞いてもこれは異論がないだろう」

【動画】キレキレのフェイント→オウンゴールを誘発して感情を爆発させる三笘
「昨シーズンは」というワードが気になったので、「ということは?」と尋ねてみる。

「今シーズンもいいパフォーマンスなのは間違いないけど、あえて指摘させてもらうと、昨シーズンほどではないかもしれない。今季のパフォーマンスが昨シーズンと比肩しうるかというとそうではないと思うんだ。というのも、まず相手選手の対応が変わってきている。いかにミトマにやりやすい形で持たせないようにするべきか。どうやってその良さを消すべきかという研究を重ねてきているんだ」

 三笘のチャンスメイクとゴールメイク能力の確かさは相手チームにとって要注意項目の一つだ。スペースがある状態で前をもってボールを持たれる局面を極力なくすことが求められるし、そのための準備をして試合に臨んでくる。

 このアヤックス戦でも、三笘に対して激しいプレスの連続で、得意な形に持ち込まれないようにするシーンが多く見られた。そのままの勢いでファウルになったり、ボールアウトでスローインになっていく。

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